FP1級 2018年1月 応用編 問55

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(40歳)は、これまで株式や投資信託を購入した経験はないが、将来に向けた資産形成のため、上場株式への投資を行いたいと考えている。
 Aさんは、株式投資を始めるにあたって、短期の売買は望まず、株式の発行企業の財務分析を行ったうえで、長期的なスタンスで投資したいと考えている。具体的には、X社の株式に興味を持っており、下記の〈X社の財務データ〉を参考にして投資を決定したいと思っている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈X社の財務データ〉(単位:百万円)
b1.png./image-size:516×535
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問55

《設例》の〈X社の財務データ〉に基づいて、①X社の2023年3月期の自己資本当期純利益率と②X社の2023年3月期のインタレスト・カバレッジ・レシオを、それぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、自己資本当期純利益率の計算にあたって、自己資本は2022年3月期と2023年3月期の平均を用いること。

正解 

① 5.68(%)
2,252,000百万円+2,147,000百万円2=2,199,500百万円
125,000百万円2,199,500百万円=5.68%(小数点以下第3位四捨五入)
② 59.85(倍)
365,000百万円+5,000百万円+1,100百万円6,200百万円=59.85倍(小数点以下第3位四捨五入)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

〔①について〕
自己資本当期純利益率は「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた額で、設問の指定どおり2022年と2023年の平均を使います。

 2022年の自己資本 2,500,000-3,000-245,000=2,252,000
 2023年の自己資本 2,400,000-3,000-250,000=2,147,200
 2期の平均額 2,252,000+2,147,2002=2,199,500

2023年3月期の当期純利益は125,000なので、

 125,000÷2,199,500×100=5.683…
(小数点以下第3位四捨五入)5.68%

よって、正解は5.68(%)となります。

〔②について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用

事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。

2023年3月期の事業利益は「365,000+5,000+1,100=371,100」、金融費用(支払利息のみ)は6,200なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、

 371,100÷6,200=59.854…倍
(小数点以下第3位四捨五入)59.85倍

よって、正解は59.85(倍)となります。