FP1級 2022年5月 応用編 問56

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(46歳)は、企業の安全性を重視して、長期的なスタンスで投資したいと思っている。具体的には、製造業の上場企業X社に興味があり、下記の財務データを参考にして、投資判断を行いたいと考えている。また、投資信託についてはYファンドとZファンドの購入を考えている。Aさんは、X社株式や投資信託の購入にあたり、NISAを利用してみたいと考えている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈2024年3月期のX社の財務データ等〉(単位:百万円)
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  • 中間配当の権利確定日:2024年9月30日(金)
〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問56

《設例》の〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉に基づいて、①YファンドとZファンドの相関係数、②Yファンドのシャープ・レシオ、③YファンドとZファンドをそれぞれ6:4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差を、それぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、シャープ・レシオについては、安全資産利子率を0.10%として計算すること。
 
 

正解 

① 0.32
80.0010.00×25.00=0.32
② 0.59
6.00%-0.10%10.00%=0.59
③ 13.21(%)
0.62×10.02+0.42×25.02+2×0.6×0.4×0.32×10.0×25.0=174.4
174.4=13.21%(小数点以下第3位四捨五入)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:9.ポートフォリオ運用

解説

〔①について〕
2資産の相関係数、標準偏差および共分散には次式の関係があります。

 相関係数=共分散A資産の標準偏差×B資産の標準偏差
 ※分母は%のまま計算します

本問では標準偏差と共分散がわかっているので、2つを使って相関係数を求めます。Yファンドの標準偏差は10%、Zファンドの標準偏差は25%、共分散は80なので、

 8010%×25%80250=0.32

よって、正解は0.32となります。

※相関係数は-1~+1までの値をとることに注意して計算しましょう。

〔②について〕
シャープ・レシオは、ポートフォリオの超過収益率を標準偏差で除して求めます。

 シャープ・レシオ=ポートフォリオの収益率-安全資産利子率標準偏差

Yファンドの収益率は6%、標準偏差は10%、安全資産利子率は0.1%ですから、

 6-0.110=0.59

よって、正解は0.59となります。

〔③について〕
A・Bという2つの資産から成るポートフォリオの標準偏差は、以下の式で求めます。

 A=標準偏差A×組入比率A
 B=標準偏差B×組入比率B
 分散=A2+B2+(2×A×B×相関係数)
 標準偏差=分散

上記の式にYファンドとZファンドの値を当てはめます。相関係数は①で求めた0.32を使います。

 A=10×0.6=6
 B=25×0.4=10
 分散=62+102+(2×6×10×0.32)=36+100+120×0.32=174.4
 174.4=13.206…%
(小数点以下第3位四捨五入)13.21%

よって、正解は13.21(%)となります。