社会保険(全61問中15問目)

No.15

自営業者であるAさん(39歳)は、2023年1月31日に勤めていた会社を退職し、現在、全国健康保険協会管掌健康保険の任意継続被保険者である。また、Aさんには、2024年2月5日に出産予定の妻がおり、妻はAさんが加入する健康保険の被扶養者である。健康保険の任意継続被保険者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2022年1月試験 問2
  1. 任意継続被保険者の保険料の基準となる標準報酬月額は、被保険者資格喪失時の標準報酬月額と、全国健康保険協会の全被保険者の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のいずれか多い額となる。
  2. Aさんは、退職日の翌日から最長で2年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができるが、任意継続被保険者の保険料は、在職時とは異なり、その全額を被保険者本人が負担する。
  3. Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。
  4. 任意継続被保険者であるAさんは、原則として、在職中と同様の保険給付を受けることができるが、退職後の傷病による傷病手当金の支給を受けることはできない。

正解 1

問題難易度
肢168.1%
肢26.5%
肢39.7%
肢415.7%

解説

  1. [不適切]。任意継続被保険者の標準報酬月額は、以下の2つの金額のうち少ない額となります(健保法47条)。
    • 任意継続加入者になった直前の標準報酬月額
    • 健康保険協会・組合の全被保険者の標準報酬月額を平均した額
    任意継続被保険者の標準報酬月額は、当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額と、全国健康保険協会の全被保険者の標準報酬月額を平均した額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額とのうち、いずれか多い額となる。2016.9-1-3
    Aさんの健康保険の保険料は、Aさんの収入月額と全国健康保険協会が管掌する全被保険者の標準報酬月額の平均額のいずれか少ないほうの金額に一般保険料率を乗じて算出される。2015.10-2-1
  2. 適切。在職中は事業所と被保険者本人で保険料を折半して負担しますが、任意継続では被保険者本人が全額負担することとなります。なお、保険料は、原則2年間変わりません。
  3. 適切。任意継続被保険者も被保険者が出産したときには出産育児一時金、被扶養者が出産したときに家族出産育児一時金が支給されます(健保法101条、同114条)。どちらも支給額は同じで産科医療補償制度に加入している病院等で出産した場合には1児につき50万円、それ以外の施設での出産の場合には1児につき48万8,000円です(健保法令36条)。
    Aさんが産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合は、所定の手続により、全国健康保険協会管掌健康保険から1児につき50万円の出産育児一時金の支給を受けることができる。2020.9-1-2
    Aさんの妻が産科医療補償制度に加入している医療機関で予定日に出産した場合、Aさんは、所定の手続により、家族出産育児一時金として一児につき50万円を受け取ることができる。2015.10-2-3
    産科医療補償制度に加入している病院において、被保険者が出産した場合は出産育児一時金として50万円が支給され、被保険者の被扶養者が出産した場合は家族出産育児一時金として48万8,000円が支給される。2015.9-2-4
    被保険者が、2023年9月に産科医療補償制度に加入する医療機関で予定どおりに出産した場合の出産育児一時金の額は、1児につき50万円である。2014.9-1-1
  4. 適切。任意継続被保険者は、原則として在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を受けることができますが、傷病手当金・出産手当金は支給されません(健保法99条)。ただし、資格喪失後の継続給付に該当する(在職中に支払事由があり、その後任意継続被保険者になった場合)場合は、任意継続被保険者であっても傷病手当金・出産手当金を受けることができます(健保法106条)。
したがって不適切な記述は[1]です。