社会保険(全61問中37問目)

No.37

全国健康保険協会管掌健康保険の高額療養費に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2018年9月試験 問2
  1. 被保険者が70歳未満である場合の自己負担限度額(高額療養費算定基準額)は、療養のあった月の被保険者の標準報酬月額に応じた4区分および被保険者が市町村民税非課税者等である場合の区分の5つの所得区分に応じて設定されている。
  2. 夫妻のいずれもが70歳未満の被保険者で、同一の世帯に属している場合には、同一月内にそれぞれが医療機関等で支払った一部負担金等の額を合算することができ、その合算した額のうち自己負担限度額(高額療養費算定基準額)を超えた額が高額療養費として払い戻される。
  3. 70歳未満の被保険者が高額療養費の支払を受ける場合において、当該療養があった月以前の12カ月以内に既に3回以上、同一の保険者から高額療養費の支払を受けているときは、自己負担限度額(高額療養費算定基準額)が軽減される。
  4. 70歳未満の被保険者が、保険者から交付された「健康保険限度額適用認定証」と被保険者証を医療機関の窓口に提示した場合は、窓口での一部負担金等の支払を自己負担限度額(高額療養費算定基準額)にとどめることができる。

正解 2

問題難易度
肢123.2%
肢256.2%
肢313.3%
肢47.3%

解説

  1. 適切。高額療養費の自己負担限度額は、年齢および所得状況等により設定され、被保険者が70歳未満である場合の自己負担限度額は、標準報酬月額に応じた4区分と市区町村民税の非課税者等の合計した5区分で設定されています(健保法令42条1項)。
  2. [不適切]。健康保険の高額療養費で一部負担金を合算できるのは、被保険者とその被扶養者が支払った費用に限られます。夫婦共働き等で70歳未満の人がともに健康保険の被保険者である場合、各々が独立したグループになり同一世帯とはみなされません。よって、一緒に暮らしていても一部負担金を合算することはできません。
  3. 適切。療養を受けた月以前の1年間(12ヵ月)に、同一世帯(被保険者とその被扶養者)で3ヵ月以上高額療養費の支給を受けているとき、4ヵ月目からは「多数回該当」となり、自己負担限度額が軽減されます(健保法令42条1項)。
    高額療養費の支給を受ける場合において、当該療養があった月以前の12カ月以内に既に3カ月以上、同一の保険者から高額療養費の支給を受けているときは、高額療養費の算定上、自己負担限度額(高額療養費算定基準額)が軽減される。2020.1-2-4
  4. 適切。高額療養費は、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される制度ですが、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、保険者の認定を受けて「限度額適用認定証」を提示すれば窓口の支払いは自己負担分だけになるので、負担が軽くなります(健保法令43条)。
    70歳未満の被保険者が、保険者から交付された「健康保険限度額適用認定証」と被保険者証を医療機関の窓口に提示した場合は、高額療養費の現物給付が行われ、窓口での一部負担金等の支払を高額療養費の自己負担限度額にとどめることができる。2014.9-1-2
したがって不適切な記述は[2]です。