社会保険(全61問中50問目)

No.50

雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、いずれの場合も所定の手続はなされているものとし、各選択肢で記載のある事項以外は考慮しないものとする。
2016年1月試験 問2
  1. 2022年4月1日に再就職し、再就職手当を受給したAさん(28歳)は、欠勤せずに働いていたが、2023年11月末に自己都合退職した。この場合、Aさんは、再就職手当を受給してから2年が経過していないため、基本手当を受給することはできない。
  2. 8年間勤務した会社を2023年2月末に自己都合退職し、家業を手伝っていたBさん(32歳)は、2023年12月10日に住所地を管轄する公共職業安定所に求職の申込みを行った。この場合、Bさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で90日である。
  3. Cさん(47歳)は、22年間勤務した会社が経営難から倒産し、2023年7月末に離職した。この場合、Cさんは特定受給資格者に該当するため、Cさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で330日である。
  4. Dさん(62歳)は、44年間勤務した会社を2023年3月末に自己都合退職した。この場合、長期加入者の特例により、Dさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で240日である。

正解 3

問題難易度
肢16.9%
肢221.8%
肢364.9%
肢46.4%

解説

まず所定給付日数の区分を確認しておきましょう。
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  1. 不適切。再就職手当を受給した後でも、再就職先で新たに雇用保険(基本手当)の受給資格を得た後に離職した場合は基本手当を受給できます。Aさんは離職の日以前2年間に12カ月以上の被保険者期間があるので、新たに得た受給資格に基づき受給することができます。なお、再就職手当については過去3年以内に再就職手当を受け取っている場合には、再支給されないという規定があります(雇用保険法56条の3第1項、同法規則82条の4)。
    基本手当を受給しながら求職活動をしていたAさん(28歳)は、2023年6月1日に再就職し、再就職手当を受給した。しかし、再就職先の会社の業務になじめず、2023年11月30日に自己都合退職した。この場合、Aさんが2カ月間の給付制限経過後に受給することができる基本手当の日数は、最大で90日である。2022.1-4-1
    基本手当を受給しながら求職活動をしていたBさん(32歳)は、2023年6月1日に再就職し、再就職手当を受給した。しかし、会社の業務になじめず、2023年11月30日に自己都合退職した。この場合、Bさんが待期期間に加え、3カ月間の給付制限経過後に受給することができる基本手当の日数は、最大で90日である。2015.1-2-2
    基本手当を受給しながら求職活動をしていたAさん(28歳)は、2022年4月1日に再就職したが、会社の業務になじめず、2023年8月末で自己都合退職した。この場合、Aさんは基本手当を受給することができない。2014.9-3-1
  2. 不適切。基本手当の受給期間は原則として離職の日の翌日から起算して1年です。Dさんは2月末に退職しているので受給期間は翌年の2月末までとなります。さらに、7日の待期期間および給付制限期間を考慮すると、12月10日に失業認定を受けても基本手当を90日分受け取れるわけではありません(雇用保険法20条1項)。
  3. [適切]。解雇や倒産等により離職した者は、特定受給資格者に該当します。Cさんは47歳で勤続22年なので、所定給付日数は330日になります(雇用保険法23条1項2号イ)。
    Bさん(47歳)は、28年間勤務した会社が経営難から廃業に追い込まれ、2023年7月末で解雇された。この場合、特定受給資格者に該当するBさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で180日である。2014.9-3-2
  4. 不適切。雇用保険には「長期加入者の特例」はありません。Dさんの退職事由は自己都合なので一般離職者に該当し、所定給付日数は、被保険者期間20年以上の一般離職者として150日となります(雇用保険法22条1項1号)。
    ※「長期加入者の特例」があるのは厚生年金です。長期加入者の特例とは、被保険者期間が44年(528月)以上ある人は、本来の支給開始年齢にかかわらず特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分の額)に定額部分と加給年金額を合わせて受け取ることのできる制度です。
    Aさん(32歳)は、9年間勤務した会社を2023年4月30日に自己都合退職した。Aさんの基本手当の所定給付日数は120日である。2023.1-3-1
    Bさん(34歳)は、大学卒業後に入社し、11年8カ月勤務した会社を2023年11月30日に自己都合退職した。この場合、Bさんが2カ月間の給付制限経過後に受給することができる基本手当の日数は、最大で120日である。2022.1-4-2
    Cさん(50歳)は、25年間勤務した会社が経営難から倒産し、2023年11月30日に離職した。この場合、特定受給資格者に該当するCさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で330日である。2022.1-4-3
    Dさん(60歳)は、会社の継続雇用制度の利用を希望せず、38年8カ月勤務した会社を2023年11月30日に定年退職した。この場合、Dさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で150日である。2022.1-4-4
    Cさん(52歳)は、30年間勤務した会社が経営難から廃業に追い込まれ、2023年12月末で解雇された。この場合、特定受給資格者に該当するCさんが受給することができる基本手当の日数は、最大で240日である。2015.1-2-3
したがって適切な記述は[3]です。