社会保険(全61問中6問目)

No.6

労働者災害補償保険の保険給付等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における労働者は、複数事業労働者ではないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
2023年5月試験 問3
  1. 労働者が業務上の傷病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合、休業4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額の60%相当額が支給され、休業特別支給金として休業給付基礎日額の20%相当額が支給される。
  2. 休業補償給付の支給を受けている労働者について、療養の開始後1年6カ月を経過しても当該傷病が治らず、その傷病の程度が傷病等級1級から3級に該当する場合は、休業補償給付の支給に代えて傷病補償年金が支給されるが、傷病等級1級から3級に該当しない場合は、引き続き休業補償給付が支給される。
  3. 業務上の傷病が治った労働者に障害が残り、その障害の程度が障害等級1級から7級に該当する場合は、障害補償年金、障害特別支給金、障害特別年金が支給され、8級から14級に該当する場合は、障害補償一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給される。
  4. 遺族補償年金の支給を受けることができる遺族の範囲は、労働者の死亡の当時、その収入によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であるが、配偶者は年齢または障害の要件は問われない。

正解 4

問題難易度
肢17.4%
肢229.7%
肢317.6%
肢445.3%

解説

  1. 適切。労働者が業務上の負傷や疾病の療養のために休業し、かつ、賃金を受けられないときには、休業4日目から給付基礎日額の60%相当額の休業補償給付、給付基礎日額の20%相当額の休業特別支給金が労災保険から支給されます(労災保険法14条、特別支給金支給規則3条)。
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合、休業4日目から休業補償給付が支給されるが、休業3日目までは、事業主が労働基準法の規定に基づき、その労働者の平均賃金の60%の休業補償を行わなければならない。2022.5-3-3
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために休業し、賃金を受けられない場合は、休業4日目から1年6カ月を限度として、休業補償給付および休業特別支給金が支給される。2019.5-2-1
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合は、休業4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額の60%相当額が支給され、さらに休業特別支給金として休業給付基礎日額の20%相当額が支給される。2015.9-3-2
  2. 適切。療養開始から1年6カ月が経過した時点で傷病が治癒しておらず、その状態が傷病等級第1級から第3級に該当する場合は、それまで受け取っていた休業補償給付から傷病補償年金の支給に切り替わります。傷病等級が付かない場合には、1年6カ月経過後も引き続き休業補償給付が支給されます。
    休業補償給付の支給を受けている労働者が、療養開始後1年6カ月を経過した日において傷病が治っておらず、当該傷病による障害の程度が一定の傷病等級に該当して傷病補償年金が支給される場合は、休業補償給付の支給が打ち切られる。2018.1-2-3
    業務上の負傷または疾病によって療養している労働者について、当該負傷または疾病が療養の開始後1年6カ月を経過しても治らず、一定の傷病等級に該当した場合は、休業補償給付に加えて傷病等級に応じた傷病補償年金が支給される。2015.9-3-3
  3. 適切。障害(補償)給付は、障害等級1級から7級は年金給付、8級から14級は一時金給付です。また、労災保険では労災保険本体からの給付に加えて、特別支給金、特別年金・一時金の加算給付があります。特別支給金は障害等級に応じた定額支給ですが、特別年金・一時金は、労災保険本体からの給付と同じく7級以上は年金、8級以下は一時金と分かれています。
    障害等級1級から7級
    障害補償年金、障害特別支給金、障害特別年金
    障害等級8級から14級
    障害補償一時金、障害特別支給金、障害特別一時金
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  4. [不適切]。遺族補償年金は、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた所定の要件を満たす「配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹」のうち、最先順位の者に支給されます(労災保険法16条の2)。配偶者が「妻」には年齢や障害の要件はありませんが、「夫」の場合は年齢60歳以上または一定の障害があることが受給資格要件となっています。
したがって不適切な記述は[4]です。