公的年金(全47問中28問目)

No.28

厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2019年1月試験 問3
  1. Aさん(63歳)の基本月額が10万円、2024年2月の標準報酬月額が20万円、60歳以後は賞与が支給されていない場合、2024年2月分の特別支給の老齢厚生年金は一部が支給停止される
  2. Bさん(66歳)の基本月額が20万円、2024年2月の標準報酬月額が24万円、2024年2月以前1年間の標準賞与額の総額が48万円の場合、2024年2月分の老齢厚生年金は全額が支給される。
  3. 加給年金対象者である配偶者を有するCさん(67歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その一部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される加給年金額についても、その一部が支給停止となる。
  4. Dさん(68歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その全部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される経過的加算額についても、その全部が支給停止となる。

正解 2

問題難易度
肢19.3%
肢265.8%
肢312.1%
肢412.8%

解説

厚生年金の被保険者として勤務しながら老齢厚生年金を受給している場合、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円を超えると、在職老齢年金の仕組みにより年金の一部または全部が支給停止されます(厚年法46条)。

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を月換算した額を加えて求めます。

 当月の標準報酬月額+当月以前1年間の標準賞与額の合計÷12

  1. 不適切。賞与の支給がないので総報酬月額相当額は「20万円」です。基本月額と総報酬月額相当額の合計は「10万円+20万円=30万円」であり、支給停止調整開始額である48万円以下なので、特別支給の老齢厚生年金は全額が支給されます。
    Aさん(64歳)の基本月額が10万円、2024年1月の標準報酬月額が20万円、2024年1月以前1年間の標準賞与額の総額が60万円の場合、2024年1月分の特別支給の老齢厚生年金として3万円が支給される。2016.1-3-1
    Bさん(67歳)の基本月額が20万円、2024年1月の標準報酬月額が24万円、2024年1月以前1年間の標準賞与額の総額が48万円の場合、2024年1月分の老齢厚生年金は全額が支給される。2016.1-3-2
  2. [適切]。総報酬月額相当額は「24万円+48万円÷12=28万円」です。基本月額と総報酬月額相当額の合計は「20万円+28万円=48万円」であり、支給停止調整開始額である48万円以下なので、支給停止額はありません。
  3. 不適切。在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止が一部に留まる場合は加給年金額は全額支給されます。一方、老齢厚生年金が全額支給停止となる場合は加給年金額も支給停止となります。
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.5-4-3
    65歳以上の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.1-3-4
    65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2019.9-4-4
    65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2017.9-4-4
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については繰下げしても増額されない。2016.9-4-4
  4. 不適切。在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金の全部が支給停止となる場合であっても経過的加算額は全額支給されます。経過的加算額は、老齢基礎年金が満額にならない部分を補うものだからです。
したがって適切な記述は[2]です。