公的年金(全47問中35問目)

No.35

老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給開始の繰上げ、繰下げに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2017年9月試験 問4
  1. 1957年(昭和32年)10月1日生まれの男性で、厚生年金保険の被保険者期間を有する者は、所定の要件を満たせば、60歳から老齢基礎年金のみを繰上げ受給し、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。
  2. 振替加算の対象者が老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、振替加算は、老齢基礎年金と同様に、繰り下げた月数に応じて増額される。
  3. 60歳から寡婦年金を受給していた者は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない。
  4. 65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。

正解 4

問題難易度
肢18.4%
肢29.0%
肢311.0%
肢471.6%

解説

  1. 不適切。1957年(昭和32年)10月1日生まれの男性は、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求しなければならないので、老齢基礎年金だけを繰上げして、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することはできません。
    1963年2月5日生まれの厚生年金保険の被保険者である男性が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合、60歳に達した月に老齢基礎年金のみの繰上げ支給の請求をすることができる。2023.5-5-1
  2. 不適切。加給年金額と振替加算額は、繰下げによる増額の対象外です。
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    老齢基礎年金に振替加算が加算される要件を満たしている者が、老齢基礎年金を繰り下げて受給する場合、老齢基礎年金の支給開始と同時に振替加算が加算されるが、振替加算の額は繰下げによって増額されない。2022.9-4-2
    振替加算が加算された老齢基礎年金を受給している妻が夫と離婚した場合、離婚を事由として振替加算は加算されなくなる。2021.9-4-3
  3. 不適切。寡婦年金は要件を満たす妻に対して60歳から65歳到達月まで支給されます。老齢基礎年金の繰上げをした場合にはその時点で寡婦年金の受給権は消滅しますが、寡婦年金の受給終了後に行う繰下げについては特に問題なく行うことができます。
    寡婦年金を受給していた者は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない。2022.9-4-3
    老齢厚生年金の繰下げ支給の申出は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出と同時に行わなければならない。2016.9-4-1
  4. [適切]。老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合は、繰下げ1カ月あたり0.7%増額になりますが、65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合に、在職老齢年金の仕組みによって年金額が調整(減額)された部分は、繰下げ支給による増額の対象外となります。
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.5-4-3
    65歳以上の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.1-3-4
    65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2019.9-4-4
    加給年金対象者である配偶者を有するCさん(67歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その一部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される加給年金額についても、その一部が支給停止となる。2019.1-3-3
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については繰下げしても増額されない。2016.9-4-4
したがって適切な記述は[4]です。