企業年金・個人年金等(全31問中2問目)

No.2

中小企業退職金共済制度(以下、「中退共」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問において、事業主には同居の親族のみを使用する事業主等は含まないものとし、従業員には短時間労働者は含まないものとする。
2023年9月試験 問6
  1. 合併等に伴い、初めて中退共の退職金共済契約を締結し、確定拠出年金の企業型年金から中退共に資産の移換を行う場合、新規加入者の掛金について国の助成を受けることはできない。
  2. 合併等に伴い、被共済者を加入者とする確定拠出年金の企業型年金を実施することになった場合、被共済者の同意に基づき、合併等を行った日から1年以内で、かつ、退職金共済契約を解除した日の翌日から3カ月以内に申し出ることで、中退共の解約手当金に相当する額を当該企業型年金へ資産移換することができる。
  3. 退職金の額は、被共済者に係る掛金月額と掛金納付月数に応じて定められている基本退職金に、運用収入の状況等に応じて定められる付加退職金を加えた額となる。
  4. 退職した日において60歳以上で、かつ、退職金の額が150万円以上であること等の要件を満たす場合、退職金は5年から10年の間の希望する分割支給期間(1年単位)で受給することができる。

正解 4

問題難易度
肢129.2%
肢213.3%
肢37.4%
肢450.1%

解説

  1. 適切。中退共に新規加入した場合には、4カ月目から1年間、掛金月額の2分の1(上限5,000円)が国から助成されます。ただし、確定給付年金や確定拠出年金を実施する企業から加入者資産の移換を受ける申出をした場合には、新規に中退共と退職金共済契約を締結する場合であっても、新規加入時の掛金負担軽減措置を受けることができません(中退共法規則69条の11第5項)。
  2. 適切。中退共の加入会社の吸収合併や会社分割に伴って中退共を解約した者がいる場合に、その解約した者を加入者とする確定給付企業年金や企業型年金を実施するときは、中退共の解約返戻金相当額を企業年金の資産管理運用機関に移換することができます。この移換の申出は、合併等をした日から1年以内かつ中退共の解約日から3か月以内に行わなくてはなりません(中退共法規則69条の16)。
  3. 適切。中退共の退職金の額は、掛金納付月数に応じて次のとおりです。掛金納付月数が43月以上の場合、基本退職金と付加退職金を合算した額が退職金の額となります(中退共法10条2項)。
    23月以下
    基本退職金(掛金の総額を下回る額)
    24月以上42月以下
    基本退職金(掛金の総額に相当する額)
    43月以上
    基本退職金(掛金の総額を上回る額)+付加退職金(掛金運用収入の一部)
    中退共のウェブサイトでも「掛金納付月数が42月以下で退職した場合は、付加退職金は付きません。」と説明されているように、付加退職金がプラスされるのは掛金納付月数が43月以上に限られるので、適切肢としては疑問符がつきます。
    退職金の額は、被共済者(従業員)に係る掛金月額および掛金納付月数に応じて定められている基本退職金に、運用収入の状況等に応じて決定される付加退職金を加えた額となる。2021.9-6-3
    退職金の額は、退職者に係る掛金月額、掛金納付月数、退職理由および退職時の年齢に応じて定められている基本退職金に、運用収入の状況等に応じて決定される付加退職金を加えた額となる。2019.5-7-3
  4. [不適切]。分割支給期間は5年または10年のいずれかなので、1年単位で選択することはできません(中退共法12条4項)。また、分割払いの要件である退職金の下限額は、5年分割では80万円、10年分割では150万円と異なっているので、この点でも間違っています(中退共法規則22条)。
したがって不適切な記述は[4]です。