企業年金・個人年金等(全31問中3問目)

No.3

転職時における確定拠出年金に係る個人別管理資産の移換に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、転職者は個人別管理資産があるものとする。
2023年5月試験 問6
  1. 企業型年金加入者が転職し、転職先の企業型年金加入者となった場合は、転職前の個人別管理資産を転職後の企業型年金に移換しなければならない。
  2. 個人型年金加入者が転職により企業型年金加入者となった場合は、個人型年金の個人別管理資産を転職後の企業型年金に移換しなければならない。
  3. 企業型年金加入者が転職により公務員となった場合は、転職前の企業型年金の個人別管理資産は、転職した月の翌月に国民年金基金連合会に自動移換される。
  4. 企業型年金加入者が確定給付企業年金のみを実施している企業へ転職した場合は、確定給付企業年金規約で定められているときは、転職前の企業型年金の個人別管理資産を確定給付企業年金に移換することができる。

正解 4

問題難易度
肢117.0%
肢27.0%
肢314.8%
肢461.2%

解説

  1. 不適切。転職後の企業型年金に移換することは義務ではありません。企業型年金加入者が退職し、転職先の企業型年金加入者となった場合、転職前の個人別管理資産の移換先として、①iDeCo、②転職後の企業型年金(DB・DC・中退共)のいずれかを選択することが可能です。なお、6か月以内に移換の申出がないときには、転職前の企業型年金から転職後の企業型年金に自動的に移換されることになっています(DC法80条)。
    個人型年金加入者が確定給付企業年金を実施している企業に就職し、確定給付企業年金の加入者となる場合、所定の要件を満たせば、その者の申出により個人別管理資産を確定給付企業年金に移換することができる。2019.9-6-4
  2. 不適切。転職後の企業型年金に移換することは義務ではありません。iDeCo加入者が転職により企業型年金加入者となった場合、引き続きiDeCoに個人別管理資産を置いておくこともできますし、転職後の企業型年金に個人別管理資産を移換することもできます。何も申出しなければiDeCoに置かれたままです(DC法80条)。
  3. 不適切。国民年金基金連合会(以下、連合会)に自動移換されるのは、資格喪失月の翌月から起算して6か月経過後です。公務員や私学教員には企業型年金の制度がないので、企業型年金の加入者でなくなった場合と同じように考えます。企業型年金の加入資格を失った者が、転職前の個人別管理資産を連合会に移換するには、iDeCo加入者となり、原則として連合会に対し移換の申出をしなければなりません。移換の申出がないまま6カ月が経過したときには、個人別資産は現金化され、連合会に自動移換されることになっています。連合会に自動移換された場合、拠出・運用・指図ができず、手数料だけが差し引かれる仮預かり状態となります(DC法83条)。
  4. [適切]。離職・転職時等の年金資産ポータビリティの仕組みにより、転職前の企業で加入していたDC・DB・中退共の個人別資産は、転職後の企業が実施しているDC・DB・中退共に移換することができます。ただし、DB(確定給付企業年金)への移換の場合には転職先企業の規約に移換を受けることができる旨の定めが必要です(DC法54条の4)。
したがって適切な記述は[4]です。