保険制度全般(全33問中29問目)

No.29

生命保険の契約者保護に係る規制等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2015年9月試験 問9
  1. 生命保険契約者保護機構の補償の対象となる生命保険契約は、運用実績連動型保険契約の特定特別勘定に係る部分を除いた国内における元受保険契約で、高予定利率契約を除き、保険会社破綻時の保険金・年金等の額の90%までが補償される。
  2. 国内で事業を行う少額短期保険業者は、保険業法の規制の対象となるが、生命保険契約者保護機構の会員ではないため、その補償の対象とならない。
  3. ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が、通常の予測を超えて発生するリスクに対し、どの程度の保険金等の支払余力を有しているかを示す指標であり、この値が200%を下回った場合には、金融庁による業務改善命令などの早期是正措置の対象となる。
  4. EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値・業績を評価する指標であり、貸借対照表などから計算される修正純資産と保有契約に基づき計算される保有契約価値を合計して算出される。

正解 1

問題難易度
肢157.7%
肢210.7%
肢39.0%
肢422.6%

解説

  1. [不適切]。生命保険契約者保護機構による補償の対象となる生命保険契約は、運用実績連動型保険契約の特定特別勘定に係る部分を除いた国内における元受保険契約で、保険会社破綻時の責任準備金等の90%まで補償されます。ただし、高予定利率契約は除きます。
  2. 適切。少額短期保険業者には、保険業法の規制が適用されるものの保険契約者保護機構制度の対象となっていないため、破綻した場合でも機構による補償の対象とはなりません(保険業法265条の2)。
    国内で事業を行うJA共済等の各種共済、少額短期保険業者は、募集する共済等の種類に応じて生命保険契約者保護機構または損害保険契約者保護機構に加入しなければならない。2023.5-10-1
    国内で事業を行う少額短期保険業者は、保険業法の規制の対象となるが、生命保険契約者保護機構および損害保険契約者保護機構の会員ではないため、保険契約者保護機構による補償の対象とならない。2019.5-9-1
    国内で事業を行う少額短期保険業者は、保険業法の規制の対象となるが、生命保険契約者保護機構の会員ではないため、その補償の対象とならない。2018.1-9-1
  3. 適切。ソルベンシー・マージン比率は、保険会社の健全性を示す指標として保険業法に規定され、行政上ではこの数値が200%以上であれば経営の健全性が確保されていると判断されます。逆に200%を下回った場合は、金融庁による早期是正措置がとられることになっています。
    ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が有する保険金等の支払余力を表す指標であり、この値が200%を下回った場合には、金融庁による業務改善命令などの早期是正措置の対象となることがある。2021.1-9-3
  4. 適切。EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値を表す指標のひとつです。EVは、貸借対照表の純資産の金額をもとに計算される「修正純資産」と保有契約から生じる将来の利益をもとに計算される「保有契約価値」を合計して算出されます。
    EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値を表す指標であり、貸借対照表などから計算される「修正純資産」と保有契約から将来生じる利益の現在価値である「保有契約価値」を合計して算出される。2023.9-10-3
    EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値を表す指標であり、保険会社の本業の利益を表す「基礎利益」と保有契約から将来的にもたらされる利益を表す「保有契約価値」を合計して算出される。2021.1-9-2
    EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値を表す指標であり、貸借対照表などから計算される「修正純資産」と保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出される。2019.1-9-4
    EV(エンベディッド・バリュー)は、保険会社の企業価値・業績を評価する指標であり、保険会社の本業の利益を表す「基礎利益」と保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計して算出される。2016.9-10-4
したがって不適切な記述は[1]です。