保険制度全般(全33問中4問目)

No.4

保険募集人の募集行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問9
  1. 銀行等が保険募集人として保険募集を行う場合、融資先募集規制により、当該銀行等の事業性資金の融資先に対し、生命保険の募集をいっさいすることはできない。
  2. 投資性の高い保険(特定保険契約)の募集には、金融商品取引法の販売・勧誘ルールが準用され、「適合性の原則」「契約締結前・契約締結時交付書面の交付」等が義務付けられている。
  3. 乗合代理店は、比較可能な同種の保険商品のなかから顧客の意向に沿った保険商品を選別して提案をしようとする場合、乗合代理店が取り扱う保険商品のうち顧客の意向に沿った比較可能な同種の保険商品の概要や当該提案の理由を説明しなければならない。
  4. 金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」では、高齢者に対する保険募集について、「親族等の同席」「複数の保険募集人による保険募集」「高齢者本人の意向に沿った商品内容等であることの確認」等の取組みを実行するよう求めている。

正解 1

問題難易度
肢188.2%
肢23.8%
肢31.9%
肢46.1%

解説

  1. [不適切]。銀行等が行う保険の募集では、圧力募集、抱合せ販売、他の取引に影響を及ぼすなどの弊害を防止するため、いくつかの弊害防止措置を順守しなくてはなりません。融資先募集規制は、銀行等が貸出の条件として保険への加入を強制するなど、優越的な地位を不当に利用した保険募集をすることを防止するために、一部の保険商品を除き、手数料を得て、以下の者が保険契約者・被保険者となる保険の募集を行うことを禁じるものです(保険業法規則212条3項・212条の2第3項)。
    • 融資先の法人とその代表者
    • 融資先の個人事業主
    • 常時使用する従業員の数が50人(特例地域金融機関では20人)以下の事業者の従業員と役員
    保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない一部の商品は本規制の対象外ですし、手数料を得ずに行う募集までは禁じられていないので、「いっさいすることはできない」ということはありません。
    【参考】一部の商品とは、住宅ローン関連長期火災保険、住宅ローン関連債務返済支援保険、海外旅行傷害保険、個人年金保険、財形保険、年金払積立傷害保険、一時払終身保険(法人契約を除く)、一時払養老保険(法人契約を除く)、貯蓄性生存保険(死亡保障部分の小さいもの)、積立火災保険、積立傷害保険などです。
    金融庁の「銀行等による保険募集に係る弊害防止措置」によれば、生命保険募集人である金融機関の職員は、当該金融機関の事業性資金の融資先に対しては、保険の種類を問わず、生命保険の募集を行ってはならないとされている。2017.9-9-1
  2. 適切。変額保険や外貨建て保険などの投資性の高い保険は、保険業法上で特定保険契約とされます。特定保険契約は、市場リスクを有する保険商品であるため、募集には、金融商品取引法の販売・勧誘ルールである「適合性の原則」「契約締結前・契約締結時交付書面の交付義務」「広告等の規制」などが準用されます(保険業法302条の2)。
  3. 適切。乗合代理店は、複数の保険会社の商品を扱う保険代理店です(一社のみ扱う店舗は専属代理店と呼ばれます)。乗合代理店が、2つ以上の同種の保険契約の中から顧客の意向に沿った保険契約を選別して、顧客に保険を提案しようとする場合には、乗合代理店が取り扱う保険契約のうち同種の保険契約の概要、当該提案の理由を説明しなければなりません(保険業法規則227条の2第3項4号)。
  4. 適切。金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」では、高齢者に対する保険募集には適切で十分な説明を行うことが重要であるとし、トラブルの未然防止・早期発見のための取組みとして、以下のような方策を行うことなどを求めています。
    • 保険募集の際に親族等の同席を求める
    • 保険募集の際に複数の保険募集人により保険募集を行う
    • 保険募集の機会を複数回設けて、検討に必要な時間を確保する
    • 保険募集を行った者以外の者が、高齢者の意向に沿った商品内容等であるかを確認する
したがって不適切な記述は[1]です。