損害保険(全58問中11問目)

No.11

個人が契約する損害保険の課税関係に関する次の記述のうち最も不適切なものはどれか。
2022年9月試験 問14
  1. Aさんが自家用車の運転中に交通事故により死亡し、Aさんの遺族が、Aさんが加入する自動車保険の人身傷害補償保険から保険金を受け取った場合、当該保険金のうち事故の相手方の過失割合に相当する金額は非課税となる。
  2. Bさんの自家用車が盗難に遭い、Bさんが加入する自動車保険の車両保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。
  3. Cさんが所有する居住用建物が火災により全焼し、Cさんが加入する火災保険から保険金を受け取った場合に、当該損失について雑損控除の適用を受けるときは、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。
  4. Dさんが病気により入院し、Dさんが加入する所得補償保険から保険金を受け取った場合に、当該入院に係る医療費について医療費控除の適用を受けるときは、支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。

正解 4

問題難易度
肢120.9%
肢29.8%
肢311.7%
肢457.6%

解説

  1. 適切。自動車保険の人身傷害(補償)保険で支払われる保険金は、本人の過失割合分は自己の保険契約からの支払いなので相続税の課税対象となりますが、相手からの損害賠償部分(過失割合分)は非課税になります。
    自動車事故によりAさんが死亡し、Aさんの遺族に対して事故の相手方が加入する自動車保険の対人賠償保険から保険金が支払われた場合、Aさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。2017.9-15-1
    自動車事故により自家用車を運転していたCさんが死亡し、Cさんの遺族に対してCさんが加入する自動車保険の人身傷害(補償)保険から保険金が支払われた場合、Cさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税、相続税および贈与税の課税対象とならない。2017.9-15-3
    自動車保険の被保険者が交通事故により死亡し、被保険者の遺族が人身傷害補償保険の保険金を受け取った場合、当該保険金のうち事故の相手方の過失割合に応ずる金額は非課税となる。2015.9-15-2
  2. 適切。自動車が盗難されると、車両保険から保険金額を限度としてその自動車の調達価格相当額の保険金が支払われます。資産に加えられた損害に関して損害保険から受け取る保険金は、利益が出たわけではないので、その資産の再調達や修理をした・しないにかかわらず非課税となります。
    個人事業主が、事業用建物が火災で焼失したことにより業務不能となり、店舗休業保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。2022.5-14-3
    個人事業主が、所有する店舗で保管していた商品が火災で焼失したことにより、商品を保険の対象とする火災保険から保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税所得に該当する。2022.5-14-4
    事業用建物が火災により焼失し、建物を保険の対象とする火災保険の保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となる。2020.1-15-1
    自動車事故によりBさんの自家用車が全損し、Bさんに対して事故の相手方が加入する自動車保険の対物賠償保険から保険金が支払われた場合、Bさんの過失の有無にかかわらず、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。2017.9-15-2
    Dさんが所有する自家用車が盗難に遭い、Dさんに対してDさんが加入する自動車保険の車両保険から保険金が支払われた場合、当該保険金については、所得税の課税対象とならない。2017.9-15-4
  3. 適切。雑損控除の控除額は、以下のいずれか多い額となります。損害額から保険金や損害賠償金等で補填される金額を差し引いた実損額をベースにして控除額を計算します。
    • (損害金額+災害関連支出額-保険金等の額)-総所得金額等×10%
    • 災害関連支出額-保険金等の額-5万円
    火災保険の被保険者が所有する居住用建物の火災による損失に基づいて受け取った保険金は非課税となるが、当該損失について雑損控除の適用を受ける場合は、損失額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2015.9-15-3
  4. [不適切]。医療費控除を受ける際は、保険金などで補填された金額を差し引いて控除額を計算します。この"保険金などで補填された金額"とは、以下のいずれかに該当する者です。
    • 保険契約に基づき支払われる医療保険金や入院保険金、傷害保険金
    • 健康保険の療養費、出産育児一時金、高額療養費など社会保険等の法令の規定に基づき、医療費の支払を給付原因として支給される給付金
    • 医療費の補てんを目的として支払を受ける損害賠償金
    • 任意の互助組織から医療費の補てんを目的として支払を受ける給付金
    所得補償保険は、病気やケガで長期間働けなくなってしまったことによる収入の減少を補填する保険であり、医療費を補填する目的ではないので、医療費控除における"保険金などで補填された金額"には該当しません。よって、所得補償保険の保険金を差し引く必要はありません。
    所得補償保険の被保険者が病気により入院し、就業不能となって受け取った保険金は非課税となるが、当該入院医療費等について医療費控除の適用を受ける場合は、支払った医療費の金額から受け取った保険金の額を差し引く必要がある。2015.9-15-4
したがって不適切な記述は[4]です。