損害保険(全58問中4問目)

No.4

各種損害保険の保険料等の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、いずれも契約者(=保険料負担者)は個人事業主であるものとする。
2023年9月試験 問15
  1. 業務の用に供する自動車を対象とする自動車保険について、個人事業主であるAさんが支払った保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。
  2. 店舗併用住宅である建物を対象とする火災保険について、個人事業主であるBさんが支払った保険料のうち、店舗部分に対応する部分の保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。
  3. 個人事業主であるCさんを被保険者とする傷害保険について、Cさんが支払った保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。
  4. 従業員を被保険者とする傷害保険について、被保険者である従業員が死亡したことにより、個人事業主であるDさんが受け取った死亡保険金は、事業所得の金額の計算上、収入金額に算入される。

正解 3

問題難易度
肢11.8%
肢28.1%
肢369.7%
肢420.4%

解説

  1. 適切。業務用車両を対象とする自動車保険料は、その車両を業務で使用しているのであれば必要経費に算入することができます。ただし、事業とプライベートの両方で使用している場合は、事業で使用している割合のみが経費となります。
    個人事業主であるAさんが支払う業務の用に供する自動車に係る自動車保険の保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。2015.1-14-1
    個人事業主であるBさんが支払う店舗併用住宅である建物に係る火災保険の保険料のうち、店舗部分に対応する部分の保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。2015.1-14-2
    個人事業主であるCさんを契約者(=保険料負担者)および被保険者とする傷害保険の保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される。2015.1-14-3
  2. 適切。個人が支払った火災保険・地震保険の保険料のうち、事務所や店舗として利用している建物や財物に対応する部分は必要経費となります。店舗併用住宅の火災保険料は、保険証券や床面積などから合理的に算出した事業用の割合のみを経費として算入することができます。
  3. [不適切]。個人事業主本人やその家族を対象とする生命保険料は、事業している・いないにかかわらず出費されるため家事費であり、事業について要した費用ではないので必要経費とすることはできません。これに対して、従業員を被保険者、受取人を個人事業主とする傷害保険であれば必要経費とすることができます。
    個人事業主であるDさんを契約者(=保険料負担者)、被保険者を従業員とする傷害保険において、被保険者である従業員が死亡したことにより、Dさんが受け取る死亡保険金は、事業所得の金額の計算上、収入金額に算入される。2015.1-14-4
  4. 適切。個人事業主が従業員を被保険者とする保険に加入している場合に、同保険に基づき支払われる一時金(生存・死亡保険金、満期保険金、解約返戻金)は、業務に関して受けるものであるため、一時所得ではなく、事業所得の収入金額に算入します(所基通34-1(4))。
したがって不適切な記述は[3]です。