マーケット環境の理解(全20問中16問目)

No.16

経済指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2016年9月試験 問16
  1. 国内総生産(GDP・支出側)は、消費支出として民間および政府最終消費支出、投資支出として総固定資本形成および在庫品増加、海外から国内生産物に対して行われる支出として財貨・サービスの輸出および輸入(控除項目)で構成され、そのうち民間最終消費支出が最も高い構成比を占めている。
  2. 経済産業省が毎月公表している鉱工業指数は、価格の変動を除いた量的変動を示す数量指数であり、生産指数、生産者出荷指数、生産者製品在庫指数などで構成され、2020年を基準時として指数化されている。
  3. 景気動向指数において、CI(コンポジット・インデックス)は主として景気変動の大きさやテンポ(量感)の測定を目的とし、DI(ディフュージョン・インデックス)は景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いの測定を主な目的としている。
  4. 完全失業率は、全国の公共職業安定所に登録された有効求職者数を労働力人口で除して算出され、景気動向指数において、有効求人倍率が一致系列に位置付けられているのに対して、完全失業率は遅行系列に位置付けられている。

正解 4

問題難易度
肢115.9%
肢217.2%
肢311.2%
肢455.7%

解説

  1. 適切。国内総生産(GDP・支出側)は、国内総生産に対する支出で、財貨・サービスの産出額が、どのように消費、投資されたかを最終需要面からとらえたもので、そのうち民間最終消費支出(いわゆる個人消費)が最も高い構成比になる約6割を占めています。
  2. 適切。鉱工業製品は、鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力を基準年を100として指数化したものです。経済産業省が毎月公表しています。基準年は5年おきに変更されていて、現在の基準年になったのは2023年4月分からです。
  3. 適切。景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があります。
    コンポジット・インデックス(CI)
    景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的とする指数。一般的に、CI一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、低下している時は後退局面となる。
    ディフュージョン・インデックス(DI)
    景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする指数。景気拡張局面では50%を上回り、後退局面では下回る傾向がある。
    景気動向指数のDI(ディフュージョン・インデックス)は、主として景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いを測定することを目的としており、基準年の2020年を100として、3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が下降していれば、景気後退の可能性が高いと判断される。2022.5-16-1
    景気動向指数のCI(コンポジット・インデックス)は、主として景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的としており、景気の拡張局面では50%を上回り、景気の後退局面では50%を下回る傾向がある。2021.9-16-1
    景気動向指数のCI(コンポジット・インデックス)は、採用系列の各月の値を3カ月前と比べた変化方向を合成して作成した指数であり、景気拡張の動きの各経済部門への波及度合いの測定を主な目的としている。2021.1-16-2
  4. [不適切]。完全失業率とは、総務省が毎月発表している指標で、15歳以上の労働力人口(就業者+完全失業者)のうち、職がなく、求職活動をしている完全失業者が占める割合です。景気動向指数の遅行系列に採用されています。
    完全失業率=完全失業者労働力人口 ですが、本肢は有効求職者数労働力人口 と説明しているので誤りです。
したがって不適切な記述は[4]です。