マーケット環境の理解(全20問中3問目)

No.3

わが国の物価指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問16
  1. 消費者物価指数(CPI)が算出の対象としている財には、原油などの原材料、電気部品などの中間財、建設機械などの設備機械は含まれない。
  2. 消費者物価指数(CPI)では、季節変動を除去した季節調整値を、「総合」「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」などの8系列について公表している。
  3. 企業物価指数(CGPI)は、企業間で取引される財の価格について基準時点の年平均価格を100とした指数であり、公表対象月が2023年5月以後のものは2020年が基準時点となっている。
  4. 原油価格などの輸入品価格の上昇は、その上昇分が国内の製品価格にすべて転嫁されなかった場合、すべて転嫁された場合と比べ、転嫁されなかった相当分だけGDPデフレーターは高くなる。

正解 4

問題難易度
肢111.8%
肢212.2%
肢318.6%
肢457.4%

解説

  1. 適切。消費者物価指数は、一般消費者が購入している財・サービス価格の動向を表す指数で、総務省が毎月発表しています。集計対象は一般消費者が購入する財・サービスなので、原材料・中間財・設備機械は含まれません。
    消費者物価指数が算出の対象としている財には、原油などの原材料、電気部品などの中間財、建設機械などの設備機械は含まれていない。2019.5-16-1
  2. 適切。消費者物価指数(CPI)は、集計対象となる500以上の品目別に指数を算出し、それを小分類、中分類、10大費目、総合というように積み上げることで算出しています。季節調整済の総合指数としては、①総合、②生鮮食品を除く総合、③生鮮食品及びエネルギーを除く総合、など8系列が公表されています。
    残り5つの系列は、④財、⑤サービス、ラスパイレス連鎖基準方式による⑥総合、⑦生鮮食品を除く総合、⑧生鮮食品及びエネルギーを除く総合です。
  3. 適切。企業物価指数(CGPI)は、企業間で取引される財の価格の変動を、基準年の年平均価格を100とした数値で示すものです。基準年は2015年→2020年というように5年ごとに変更されます。2020年基準になったのは、2022年5月集計分からです。
  4. [不適切]。GDPを算出する上では、国内で生み出された価値である輸出額を加え、国外で生み出された価値である輸入額を控除することになっています。輸入品の価格が上昇すると名目輸入が増加し、その分だけ名目GDPは下がることになります。一方、物価変動の影響を取り除いた実質GDPは変化しません。GDPデフレーターは「名目GDP実質GDP×100」の式で算出されるので、輸入品価格の上昇は、輸入価格の上昇が国内の製品価格等に転嫁されない限り、GDPデフレーターの下落要因となります。
    原油価格などの輸入品価格の上昇は、その上昇分が国内の製品価格等にすべて転嫁されない限り、GDPデフレーターの下落要因となる。2019.5-16-3
したがって不適切な記述は[4]です。