金融資産運用の最新動向(全3問中3問目)

No.3

金融商品の個人所得課税に係る事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2016年1月試験 問22
  1. 特定公社債の利子は、原則として申告分離課税の対象となり、確定申告をすることにより、上場株式等の譲渡損失と損益通算することができる。
  2. 特定公社債について、その譲渡に係る譲渡益は従来どおり非課税とされるが、償還差益は原則として申告分離課税の対象となる。
  3. 個人向け国債を含む国債や地方債、公募公社債投資信託を特定口座に受け入れることができる。
  4. 上場株式の譲渡損益と非上場株式の譲渡損益は通算することができない。

正解 2

問題難易度
肢111.7%
肢258.6%
肢320.2%
肢49.5%

解説

  1. 適切。特定公社債の利子は、申告不要または申告分離課税のいずれかを選択できますが、申告分離課税を選択したものは、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用対象となります。
  2. [不適切]。特定公社債等の譲渡益・償還差益は申告分離課税の対象となっており、年間の譲渡益の合計に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率が適用されます。
  3. 適切。特定口座は、証券会社・銀行が1年間の投資信託や株などの売買での利益または損失を計算をしてくれるだけでなく、その内容をまとめた「年間取引報告書」も作成してくれて、2016年1月より公募株式投資信託に加えて、国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債等の債券および公社債投信についても特定口座での管理が可能となりました。
  4. 適切。従来の「株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」の規定が、「一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」と「上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」としてそれぞれ別の区分として規定されたことで、それまで可能であった上場株式と未上場株式間の譲渡損益の通算は、できないことになりました。
したがって不適切な記述は[2]です。
参考:金融所得一体課税の前(2015年以前)は以下のような取り扱いになっていました。
1. 特定公社債と上場株式等は損益通算できない
2. 特定公社債の償還益は非課税
3. 特定公社債は特定口座に受け入れできない
4. 上場株式等と非上場株式で譲渡損益の通算ができる