金融派生商品(全20問中3問目)

No.3

オプション取引に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年9月試験 問20
  1. ITM(イン・ザ・マネー)は、コール・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいい、プット・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいう。
  2. カラーの買いは、キャップの買いとフロアの買いを組み合わせた取引であり、買い手は売り手にオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した上限金利を上回った場合や下限金利を下回った場合に、その差額を受け取ることができる。
  3. 権利行使期間中であればいつでも権利行使が可能なものをアメリカン・オプション、特定の権利行使日のみ権利行使が可能なものをヨーロピアン・オプションという。
  4. 通貨スワップに、取引の当事者の一方が、あらかじめ定めた期日に当該スワップ取引を終了させるオプションが組み込まれたスワップをスワップションという。

正解 3

問題難易度
肢17.7%
肢215.8%
肢368.8%
肢47.7%

解説

  1. 不適切。ITM(イン・ザ・マネー)は、オプションの本質的価値が0よりも大きい有利な状態のことをいいます。例えば、日経225オプション取引でその時点の日経平均株価が20,000円のとき、19,000円で買える権利は1,000円の価値があることになります。このようにオプションを行使することで利益が出る状態をITM(イン・ザ・マネー)といいます。それぞれのオプションで以下のときにITM(イン・ザ・マネー)状態となります。
    • コール・オプション:原資産価格>権利行使価格
    • プット・オプション:原資産価格<権利行使価格
    逆にオプションを行使することで損失が出る状態をOTM(アウト・ザ・マネー)、原資産価格と権利行使価格が同じ状態をATM(アット・ザ・マネー)といいます。
    ITM(イン・ザ・マネー)は、コール・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を上回っている状態をいい、プット・オプションの場合は原資産価格が権利行使価格を下回っている状態をいう。2019.1-20-1
  2. 不適切。フロアの買いではなく、フロアの売りです。カラーは、キャップとフロアの"売り買い"を組み合わせた取引です。カラーの買い手が売り手に対してオプション料を支払い、原資産である金利があらかじめ設定した変動幅の範囲外となった場合に、その差額(金利差)を受け取ることができます。
    カラーの買い=キャップの買い+フロアの売り
    金利低下のメリットを放棄して、金利上昇時にメリットを享受する。フロア売りで受け取るオプション料をキャップ買いのオプション料支払いに充てる
    カラーの売り=キャップの売り+フロアの買い
    金利上昇のメリットを放棄して、金利低下時にメリットを享受する。キャップ売りで受け取るオプション料をフロア買いのオプション料支払いに充てる
    キャップは、キャップの買い手が売り手に対してオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した金利を上回った場合に、その差額を受け取ることができる取引である。2019.1-20-2
    カラーは、キャップの買いとフロアの買いを組み合わせた取引であり、カラーの買い手は売り手に対してオプション料を支払うことにより、原資産である金利があらかじめ設定した変動幅の範囲外となった場合に、その差額を受け取ることができる。2019.1-20-3
  3. [適切]。オプション取引は、権利行使時期の違いにより以下の2タイプに分かれます。
    アメリカンタイプ
    権利行使期間中であればいつでも権利行使可能
    ヨーロピアンタイプ
    特定の権利行使日(満期日)のみ権利行使可能
  4. 不適切。当事者一方の意思表示によりスワップ取引を終了させるオプションが付いたスワップは、キャンセラブル・スワップと呼ばれます。スワップションは、一定の期日にスワップ取引を行う権利を原資産とするオプション取引です。
    ペイヤーズ・スワップション
    オプションの買い手が固定金利を支払い、変動金利を受け取るオプション
    ⇒固定金利を支払う(ペイ:pay)ので、ペイヤーズ
    レシーバーズ・スワップション
    オプションの買い手が変動金利を支払い、固定金利を受け取るオプション
    ⇒固定金利を受け取る(レシーブ:receive)ので、レシーバーズ
したがって適切な記述は[3]です。