法人税(全60問中17問目)

No.17

中小企業事業再編投資損失準備金制度(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
2022年1月試験 問33
  1. 青色申告書を提出する中小企業者のうち、2027年3月31日までの間に中小企業等経営強化法の経営力向上計画について認定を受けた法人が本制度の適用対象となる。
  2. 中小企業者が取得する株式等の取得価額が10億円を超える場合には、本制度の適用を受けることはできない。
  3. 中小企業者が、取得をした株式等の取得価額の70%相当額以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、当該金額をその事業年度の損金の額に算入することができる。
  4. 中小企業者が、取得をした株式等の全部を譲渡した場合、譲渡した事業年度から5年間で中小企業事業再編投資損失準備金の均等額を取り崩して益金の額に算入することとされている。

正解 4

問題難易度
肢16.0%
肢226.0%
肢331.9%
肢436.1%

解説

中小企業事業再編投資損失準備金制度は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づいてM&Aを実施した場合に、M&A投資額の最大70%を準備金として積み立てることでその事業年度の損金にすることができる繰延制度です。積み立てた準備金は5年の据え置き期間後、5分の1ずつ益金に算入していきます。M&Aによる多額のキャッシュアウトに伴う業績悪化を防ぐための緩和措置として創設されました。
  1. 適切。本制度は、青色申告書を提出する中小企業者のうち、2027年3月31日までに中小企業等経営強化法の事業承継等事前調査に関する事項が記載された経営力向上計画の認定を受けた法人が適用の対象となります。
  2. 適切。本制度は、取得をした株式等の取得価額の総額が10億円を超える場合には適用を受けることができません。
  3. 適切。取得をした株式等の取得価額の70%相当額以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その金額を事業年度の損金の額に算入することができます。
  4. [不適切]。本制度は、5年間の据置期間のあと5年間にかけて均等額で取り崩して益金算入しますが、株式の売却や減損処理を行った場合は、据置期間中であっても準備金すべてを取り崩して益金算入します。
したがって不適切な記述は[4]です。
本制度は令和6年税制改正により拡充が行われていますが、5月試験の法令基準日は2023年10月1日なのでまだ改題はしていません。