法人税(全60問中23問目)

No.23

内国法人に係る法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、当期とは2023年4月1日から2024年3月31日までの事業年度であるものとする。
2021年1月試験 問30
  1. 生産調整のために稼働を休止している機械装置については、事業の用に供していないため、必要な維持補修が行われていつでも稼働し得る状態にあるものであっても、その償却費を損金の額に算入することはできない。
  2. 当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。
  3. 当期において取得した取得価額が30万円未満の減価償却資産について「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けることができる法人は、中小企業者等で青色申告法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人とされている。
  4. 事業の用に供している減価償却資産の償却方法を変更する場合、原則として、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日から2カ月以内に「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢14.2%
肢272.5%
肢38.9%
肢414.4%

解説

  1. 不適切。減価償却は事業の用に供していることが要件になるため、生産調整のために稼働を休止している機械装置については、原則として減価償却することはできません。しかし、必要な維持補修が行われていつでも稼働し得る状態にある場合は、その償却費を損金の額に算入することができることになっています。
  2. [適切]。取得価額が10万円未満もしくは使用可能期間が1年未満の減価償却資産はその取得価額の全額をその事業年度の損金の額に算入することができます(少額減価償却資産の特例)。
    当期に使用可能期間が1年以上である取得価額8万円の減価償却資産を取得して貸付の用に供した場合、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2022.9-32-1
    当期に取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、青色申告法人ではない法人であっても、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2019.5-31-2
    前期に取得して事業の用に供し、その取得価額の3分の1相当額を損金の額に算入していた一括償却資産を当期に売却した場合、当期において未償却残高である取得価額の3分の2相当額を損金経理により損金の額に算入することができる。2019.5-31-3
    取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産については、青色申告法人ではない法人であっても、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2018.1-31-3
    使用可能期間が1年未満である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、当該事業年度において取得価額の全額を損金の額に算入することができる。2015.9-30-1
    取得価額が30万円である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、10万円を当該事業年度以後3年間にわたって損金の額に算入することができる。2015.9-30-2
  3. 不適切。「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けると、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、取得金額の全額をその事業年度に一括して損金算入できます。この特例を使えるのは、青色申告法人である中小企業者等で、常時使用する従業員の数が500人以下の法人に限られます。
    当期において取得した取得価額が30万円未満の減価償却資産について「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けることができる法人は、中小企業者等で青色申告法人のうち、常時使用する従業員の数が500人以下の法人に限られる。2019.5-31-4
  4. 不適切。減価償却資産の償却方法を変更する場合は、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し承認を受けなければなりません。
したがって適切な記述は[2]です。