法人税(全60問中28問目)

No.28

内国法人に係る法人税における役員給与および役員退職金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、給与等は隠蔽または仮装経理により支給されたものではないものとする。
2020年1月試験 問30
  1. 役員に対して支給する定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額である場合、その定期給与の各支給時期における支給額は、定期同額給与として損金の額に算入することができる。
  2. 役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与として損金の額に算入することができる。
  3. 役員に対し、事前確定届出給与としてあらかじめ税務署長に届け出た金額よりも多い金額を役員賞与として支給した場合、原則として、当該役員賞与は事前確定届出給与に該当せず、その支給額の全額が損金不算入となる。
  4. 自己都合により役員を退任した者に支給する役員退職金を損金の額に算入するためには、その支給額が職務の対価として適正な金額であり、かつ、その支給額および支給時期についてあらかじめ税務署長に届け出る必要がある。

正解 4

問題難易度
肢19.8%
肢211.0%
肢320.4%
肢458.8%

解説

  1. 適切。定期同額給与とは、その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で、各支給時期における①支給額または②毎月供与される経済的利益の額が概ね一定であるものをいいます。支給額が同額でなくても、支給額から源泉税等の額(所得税、地方税、社会保険料)を控除した金額が同額であるものは、支給額が同額であるとみなされ、定期同額給与として認められます(法人税法令69条1項・2項)。
  2. 適切。役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは定期同額給与と認められ、損金の額に算入することができます(法人税法令69条1項2号)。
    役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与として損金の額に算入することができる。2021.9-31-1
  3. 適切。事前確定届出給与とは、事前に税務署に届出をして支払う給与のことです。届出どおりに支払えば全額を損金算入することができますが、届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、事前確定届出給与に該当しないこととなり、支給額の全額が損金不算入になります(法人税法34条1項2号)。
    役員に対し、事前確定届出給与としてあらかじめ税務署長に届け出た金額よりも多い金額を役員賞与として支給した場合、原則として、当該役員賞与は事前確定届出給与として届け出た金額を限度として損金の額に算入することができる。2023.9-31-3
    役員に対して事前確定届出給与として税務署長に届け出た金額よりも多い金額を役員賞与として支給した場合、当該役員賞与のうち、増額部分の金額は損金の額に算入することはできず、事前に届け出た金額を限度として、損金の額に算入する。2021.9-31-2
    役員に対し、事前確定届出給与としてあらかじめ税務署長に届け出た金額よりも多い金額を役員賞与として支給した場合、原則として、当該役員賞与は事前確定届出給与に該当せず、その支給額の全額が損金不算入となる。2019.5-32-3
    事前確定届出給与において、あらかじめ所轄税務署長に届け出た金額よりも多い金額を支給した場合、損金の額に算入することができる金額は届け出た金額が限度となり、届け出た金額を超える部分の金額は損金の額に算入することができない。2017.9-31-3
  4. [不適切]。役員退職金は、職務の対価として適正な額であれば、損金算入することができます。退職理由にかかわらず、税務署へあらかじめ届け出る必要はありません。
したがって不適切な記述は[4]です。