法人税(全60問中33問目)

No.33

法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、当期とは2023年4月1日から2024年3月31日までの事業年度であるものとする。
2019年5月試験 問31
  1. 当期において取得した減価償却資産について定率法を選定した場合、耐用年数に応じた定率法の償却率は、耐用年数に応じた定額法の償却率を2倍したもの(200%定率法)とされる。
  2. 当期に取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、青色申告法人ではない法人であっても、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。
  3. 前期に取得して事業の用に供し、その取得価額の3分の1相当額を損金の額に算入していた一括償却資産を当期に売却した場合、当期において未償却残高である取得価額の3分の2相当額を損金経理により損金の額に算入することができる。
  4. 当期において取得した取得価額が30万円未満の減価償却資産について「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けることができる法人は、中小企業者等で青色申告法人のうち、常時使用する従業員の数が500人以下の法人に限られる。

正解 3

問題難易度
肢110.2%
肢29.0%
肢355.2%
肢425.6%

解説

  1. 適切。2012年(平成24年)4月1日以後に取得した減価償却資産について、定率法を選定した場合に使用される償却率は、耐用年数に応じた定額法の償却率の2倍になります(200%定率法)。例えば、定額法で耐用年数8年だと取得価額の0.125ずつ償却していきますが、定率法で耐用年数8年だと未償却残高に「0.125×200%=0.250」を乗じた額ずつを毎年償却していきます(法人税法令48条の2第1項1号ロ)。
    2011年(平成23年)3月31日以前に取得した減価償却資産については250%定率法でした。
  2. 適切。少額減価償却資産の特例として、取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、青色申告法人であるか否かにかかわらず、その取得価額の全額を当該事業年度の損金として算入することができます(法人税法令133条)。
    当期に使用可能期間が1年以上である取得価額8万円の減価償却資産を取得して貸付の用に供した場合、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2022.9-32-1
    当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2021.1-30-2
    前期に取得して事業の用に供し、その取得価額の3分の1相当額を損金の額に算入していた一括償却資産を当期に売却した場合、当期において未償却残高である取得価額の3分の2相当額を損金経理により損金の額に算入することができる。2019.5-31-3
    取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産については、青色申告法人ではない法人であっても、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2018.1-31-3
    使用可能期間が1年未満である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、当該事業年度において取得価額の全額を損金の額に算入することができる。2015.9-30-1
    取得価額が30万円である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、10万円を当該事業年度以後3年間にわたって損金の額に算入することができる。2015.9-30-2
  3. [不適切]。一括償却資産とは、償却資産のうち取得金額が20万円未満の資産について選択できる償却方法で、3年間で取得金額の3分の1の額を均等に償却します(法人税法令133条の2)。例えば15万円で取得した一括償却資産は、1年目:5万円、2年目:5万円、3年目:5万円というように償却します(通常の減価償却のように月割りはしません)。
    前期に取得した償却資産を当期に売却した場合でも未償却残高全額を損金算入することはできず、3分の1ずつ損金算入しなければなりません。
    当期に使用可能期間が1年以上である取得価額8万円の減価償却資産を取得して貸付の用に供した場合、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2022.9-32-1
    当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2021.1-30-2
    当期に取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、青色申告法人ではない法人であっても、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2019.5-31-2
    取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産については、青色申告法人ではない法人であっても、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2018.1-31-3
    使用可能期間が1年未満である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、当該事業年度において取得価額の全額を損金の額に算入することができる。2015.9-30-1
    取得価額が30万円である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、10万円を当該事業年度以後3年間にわたって損金の額に算入することができる。2015.9-30-2
  4. 適切。「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受け、取得価額が30万円未満の減価償却資産について一括して損金算入することができる法人は、青色申告法人である中小企業者等で、常時使用する従業員の数が500人以下の法人に限られます。また、1事業年度に損金算入できるのは300万円までという制限があります。
    従業員数の要件が500人以下になり、連結法人が除外されるようになったのは2020年(令和2年4月1日)からです。それまでは1,000人以下であればOKでした。
    当期において取得した取得価額が30万円未満の減価償却資産について「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けることができる法人は、中小企業者等で青色申告法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人とされている。2021.1-30-3
したがって不適切な記述は[3]です。