決算書と法人税申告書(全4問中1問目)

No.1

キャッシュフロー計算書の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問33
  1. 保有していた固定資産を売却した場合、投資活動によるキャッシュフローの区分には、売却損益の金額が記載される。
  2. 間接法による営業活動によるキャッシュフローは、税引前当期純利益の金額に、キャッシュの変動を伴わない減価償却費や売上債権等の運転資金項目等を加算・減算して算出する。
  3. 財務活動によるキャッシュフローの区分に記載される借入れおよび株式・社債の発行による資金の調達などの表示は、原則として総額による表示とされる。
  4. 企業が金融機関と締結している当座借越限度枠を、現金および現金同等物と同様に利用している場合、当座借越は負の現金同等物として取り扱う。

正解 1

問題難易度
肢142.7%
肢217.5%
肢318.1%
肢421.7%

解説

  1. [不適切]。キャッシュフロー計算書は、一期間の現金および現金同等物の出入りを表示する書類なので、固定資産を売却した場合、現金流入額である売却額を投資活動によるキャッシュフローとして計上しなければなりません。
  2. 適切。キャッシュフロー計算書における営業活動によるキャッシュフローには、直接法と間接法という2つの表示方法があります。どちらを用いても最終的な金額は同じです。
    直接法
    営業収入、仕入れ支出など主要な取引ごとに総額を表示することによって算出する
    間接法
    税引前当期純利益の額に、減価償却費・貸倒引当金などの非現金支出費用の額を加算し、運転資金項目の期首からの変動額を加減することで算出する
  3. 適切。営業活動によるキャッシュフローでは、直接法・間接法を選択できますが、投資活動によるキャッシュフロー・財務活動によるキャッシュフローは、期間が短く、かつ、回転が速い項目に係るキャッシュフローを除き、主要な取引ごとのキャッシュフローを総額表示(直接法に相当)しなければなりません。
  4. 適切。当座借越は、預金残高が不足していても限度枠の範囲内で引出しや支払いができる仕組みです。当座借越残高は貸借対照表上の短期借入金に区分され、通常であれば財務活動によるキャッシュフローに区分されますが、当座借越枠を日常から現金および現金同等物を同じように利用している場合、当座借越の残高を負の現金同等物として取り扱います。
したがって不適切な記述は[1]です。