各種所得の内容(全41問中11問目)

No.11

居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2022年1月試験 問26
  1. 会社員のAさん(55歳)は、勤続25年3カ月で障害者になったことに直接基因して退職することとなり、退職金を受け取った。この場合、退職所得の金額の計算上、退職所得控除額は1,320万円となる。
  2. 会社員のBさん(65歳)は、退職金の支払を受ける時までに退職所得の受給に関する申告書を支払者に提出した。この場合、その支払われる退職手当等の金額に20.42%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収されるが、確定申告をすることにより、当該税額を精算することができる。
  3. 会社員のCさん(60歳)は、確定拠出年金の個人型年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った。この場合、老齢給付金として支給される一時金の額が退職所得の収入金額となる。
  4. 常勤監査役のDさん(64歳)は、上場企業を定年退職した後に入社した関連会社の常勤監査役を勤続4年3カ月で退職し、退職金を受け取った。この場合、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算する。

正解 2

問題難易度
肢117.0%
肢261.0%
肢38.5%
肢413.5%

解説

  1. 適切。勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20)」で求めます。退職所得控除額の計算では1年に満たない月を切り上げて1年とするので、勤続25年3カ月は26年で計算します。また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合、退職所得控除額が100万円加算されます。

     800万円+70万円×(26年-20年)+100万円
    =800万円+420万円+100万円=1,320万円

  2. [不適切]。Bさんは「退職所得の受給に関する申告書」を提出していますので、会社が所得税額・住民税額を計算し、退職金支払いの際に正規の税額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。もし「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった場合は、退職手当等の金額から「所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%」が源泉徴収された額が支払われ、後から自分で確定申告を行って税額を精算することになります。
    退職金の支払を受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に提出しなかった場合、退職手当等の金額に20.42%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収される。2017.9-26-4
    退職金の支払を受けるときまでに「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に提出しなかった場合、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1相当額に対して20.42%の税率による源泉徴収が行われる。2016.9-27-4
    退職一時金の支払を受ける従業員が「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合には、退職一時金の収入金額に対して20.42%を乗じた所得税および復興特別所得税を源泉徴収する。2014.9-26-2
  3. 適切。確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、受け取った給付金全額が退職所得の収入金額となります。小規模企業共済の共済金も同じです。
    確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。2019.1-25-3
  4. 適切。役員等勤続年数が5年以下の国家公務員や地方公務員、議員、法人の役員は退職所得上の特定役員となり、通常、退職所得控除額を差し引いた後に行う2分の1課税が適用外となります。法人の役員には、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人等が含まれるので、監査役であり役員等勤続年数5年以下で退職したDさんの退職所得は、特定役員退職手当等として計算することになります。
したがって不適切な記述は[2]です。