各種所得の内容(全41問中28問目)

No.28

居住者に係る所得税等の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2017年9月試験 問25
  1. 内国法人から支払を受ける非上場株式の配当について、受け取った株主が有する当該株式数が当該発行会社の発行済株式総数の3%以上である場合、受け取った配当の金額にかかわらず、確定申告不要制度を選択することはできない。
  2. 内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、配当の金額に20.315%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉(特別)徴収される。
  3. 内国法人から支払を受ける上場株式の配当に係る配当所得について確定申告をする場合は、その申告をする上場株式の配当に係る配当所得のすべてについて、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択しなければならない。
  4. 内国法人から支払を受ける非上場株式の配当に係る配当所得については、確定申告による総合課税を選択したとしても、配当控除の適用を受けることはできない。

正解 3

問題難易度
肢117.8%
肢211.3%
肢358.4%
肢412.5%

解説

配当所得の課税関係については以下の出題ポイントを確認しておきましょう。
25.png./image-size:545×369
  1. 不適切。その会社の発行済株式総数の3%以上を有する個人(いわゆる大口株主等)が受け取った配当であっても、少額配当に該当する額であれば確定申告不要とすることができます。これは上場株式・非上場株式にかかわらず同じです。
    非上場株式の配当について、受け取った株主が有する当該株式数が当該発行会社の発行済株式総数の3%以上である場合、その支払の際に配当の金額に20.315%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収される。2021.1-25-1
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該株式の保有割合にかかわらず、配当の金額に20.315%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉(特別)徴収される。2017.9-25-2
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該上場株式の数および金額が当該発行会社の発行済株式総数等の3%未満であれば、受け取った配当の金額にかかわらず、確定申告不要制度を選択することができる。2016.1-26-1
  2. 不適切。「非上場株式の配当」および「大口株主等が受け取る上場株式等の配当」については、支払金額に対して20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収されます。上場株式等の場合は受け取る者の株式保有割合によって源泉徴収方法が変わりますが、非上場株式は株式保有割合にかかわらず同じ割合です。
    ※大口株主等以外は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%を合わせた20.315%の源泉徴収
    非上場株式の配当について、受け取った株主が有する当該株式数が当該発行会社の発行済株式総数の3%以上である場合、その支払の際に配当の金額に20.315%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収される。2021.1-25-1
    内国法人から支払を受ける非上場株式の配当について、受け取った株主が有する当該株式数が当該発行会社の発行済株式総数の3%以上である場合、受け取った配当の金額にかかわらず、確定申告不要制度を選択することはできない。2017.9-25-1
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当については、受け取った株主が有する当該上場株式の数および金額が当該発行会社の発行済株式総数等の3%未満であれば、受け取った配当の金額にかかわらず、確定申告不要制度を選択することができる。2016.1-26-1
  3. [適切]。上場株式等の配当所得を申告する場合は、確定申告をする上場株式等に係る配当等の全てについて、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択することになります(大口株主等を除く)。配当ごとに選択できるのは確定申告不要制度を選択するか否かです。
    同一年中に受け取った複数の上場株式の配当について確定申告を行う場合、1銘柄ごとに総合課税または申告分離課税を選択することができる。2022.9-26-2
    上場株式の配当に係る配当所得について確定申告をする場合は、その申告をする上場株式の配当に係る配当所得のすべてについて、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択しなければならない。2021.1-25-3
    同一年中に受け取った複数の上場株式の配当について確定申告を行う場合、1銘柄ごとに総合課税または申告分離課税を選択することができる。2016.1-26-2
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当で、確定申告において総合課税または申告分離課税を選択した配当所得については、配当控除の適用を受けることができる。2016.1-26-4
    個人(発行済株式総数等の3%未満を有する者)が受け取る上場株式の配当について、納税者は、確定申告不要制度、総合課税または申告分離課税のいずれかを選択することができる。2014.1-27-1
  4. 不適切。非上場株式に係る配当所得についても総合課税を選択すれば配当控除の適用を受けられます。
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当について、確定申告において申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。2022.9-26-4
    内国法人から支払を受ける上場株式の配当について申告分離課税を選択した場合、その配当所得の金額は、同一年中に非上場株式を譲渡したことにより生じた損失の金額と損益通算することができる。2019.9-25-1
したがって適切な記述は[3]です。