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No.8

居住者に係る所得税の給与所得に関する次の記述のうち最も適切なものはどれか。
2022年9月試験 問27
  1. 交通機関を利用して通勤する給与所得者が、その通勤に必要な費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、経済的かつ合理的と認められる通常の運賃等の額は、月額10万円を上限として非課税とされる。
  2. 物品その他の資産を無償または低い対価により譲渡されたことによる経済的利益や土地、家屋その他の資産を無償または低い対価により借り受けたことによる経済的利益のうち、現物給与とされるものは、給与所得の金額の計算上、収入金額に算入しない。
  3. 給与所得者がその年中に支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、年末調整により、給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除することができる。
  4. その年中の給与等の収入金額が900万円である給与所得者(ほかに所得はない)が23歳未満の扶養親族を有する場合、総所得金額の計算上、所得金額調整控除として5万円が給与所得の金額から控除される。

正解 4

問題難易度
肢19.8%
肢29.1%
肢334.7%
肢446.4%

解説

  1. 不適切。交通機関または有料道路を利用している給与所得者に対して支給する通勤手当は、月額15万円を限度として非課税となります。
    交通機関を利用して通勤する給与所得者が、その通勤に必要な費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、経済的かつ合理的と認められる通常の運賃等の額は、月額10万円を上限として非課税とされる。2021.5-26-1
    交通機関を利用して通勤している給与所得者に勤務先から2016年1月1日以後に支払われるべき通勤手当は、合理的な運賃等の額で、月額15万円を上限に非課税とされる。2016.9-26-1
  2. 不適切。現物給与とは、金銭ではなく、物品、資産もしくはサービスを無償または低い対価で提供することによって支給される給与で、以下のようなものがあります。現物給与に該当する場合、その額は給与所得に算入されます
    • 物品その他の資産を無償または低い価額により譲渡したことによる経済的利益
    • 土地、家屋、金銭その他の資産を無償または低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
    • 福利厚生施設の利用など(2)以外の用役を無償または低い対価により提供したことによる経済的利益
    • 個人的債務を免除または負担したことによる経済的利益
  3. 不適切。給与所得者が通勤費や転居費などの特定支出をし、その支出額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、確定申告をすることで、その2分の1を超える部分を給与所得の金額から控除することができます(給与所得者の特定支出の控除)。
    給与所得者がその年中に支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、「給与所得者の特定支出の控除の特例」の適用を受けることにより、給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除することができる。2021.5-26-3
    給与所得者が支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えた場合、「給与所得者の特定支出の控除の特例」の適用を受けることにより、給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除した金額となる。2018.9-25-3
    2023年中に給与所得者が支出した特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えた場合、給与所得者の特定支出の控除の特例の適用を受けることにより、給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額からその超える部分の金額を控除した金額となる。2016.9-26-3
  4. [適切]。所得金額調整控除(子ども等)の額は、「(収入金額[1,000万円超の場合は1,000万円]-850万円)×10%」の式で算出します。本肢に当てはめると「(900万円-850万円)×10%=5万円」となります。所得金額調整控除は2020年の給与所得控除の引下げに伴う緩和措置として創設された制度なので、控除額は給与所得の額から控除します。
    給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者が23歳未満の扶養親族を有する場合、総所得金額の計算上、給与所得の金額から所得金額調整控除として最大10万円が控除される。2021.5-26-4
したがって適切な記述は[4]です。