損益通算(全15問中10問目)

No.10

Aさん(居住者)の2023年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の総所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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2018年9月試験 問26
  1. 630万円
  2. 650万円
  3. 690万円
  4. 715万円

正解 3

問題難易度
肢119.2%
肢29.4%
肢362.6%
肢48.8%

解説

まず各所得の金額を計算し、それを損益通算して総所得金額を求めます。
給与所得
930万円-195万円=735万円
譲渡所得
200万円-260万円=▲60万円
不動産所得
200万円-300万円=▲100万円
一時所得
1,080万円-1,000万円-50万円=30万円
損益通算する際には、控除する所得の順序が定められています。具体的には、①経常所得(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得)と、②臨時所得(総合譲渡所得、一時所得)、③山林所得、④退職所得に分け、下図のとおりの順序で通算を行います。
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したがって、最初に経常・臨時のグループごとに第1次通算を行います。
①経常グループ
給与所得から不動産所得の損失を控除します。損益通算の計算上、土地等の取得に要した借入金の利子は損益通算の対象外とされているので、不動産所得の損失のうち損益通算が可能額は「100万円-40万円=60万円」です。
よって、経常グループの合計所得は「735万円-60万円=675万円」です。
②臨時グループ
譲渡所得の損失は、最初に同じ臨時グループである一時所得と損益通算します。しかし、上場株式等の譲渡所得は分離課税であり、他の所得と損益通算することはできません。よって、臨時グループの合計所得は、一時所得の30万円となります。
損失がなくなったので、これで損益通算は終了します。

損益通算後に残ったのは給与所得の675万円と一時所得の30万円です。一時所得は総収入金額に算入する際に1/2にするので、総所得金額は、

 675万円+30万円×1/2=690万円

したがって[3]が正解です。