不動産の見方(全27問中1問目)

No.1

2024年4月1日に施行される改正不動産登記法における相続等による所有権の移転の登記(以下、「相続登記」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年1月試験 問34
  1. 相続によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。
  2. 法定相続分に応じて相続登記がされた後に、遺産分割協議の成立により、当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。
  3. 相続登記の申請の義務化は、2024年4月1日以後に相続の開始があった場合について適用され、2024年3月31日以前に相続の開始があった場合は適用されない。
  4. 相続登記の申請をすべき義務がある者が正当な理由がなく申請をしない場合に対して、不動産登記法において罰則規定が設けられている。

正解 3

問題難易度
肢111.2%
肢212.1%
肢364.6%
肢412.1%

解説

  1. 適切。相続や遺贈によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、当該不動産の所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記(所有権移転の登記)の申請をしなければなりません。いわゆる相続登記の義務化です(不動産登記法76条の2第1項)。
  2. 適切。既に法定相続分で相続登記を行っている場合において、その後の遺産分割協議で財産の帰属が確定した場合、法定相続分を超えて不動産の所有権を取得した者は、遺産分割から3年以内に相続登記(所有権移転の登記)を申請しなければなりません(不動産登記法76条の2第2項)。
  3. [不適切]。相続登記の義務化は、法施行日である2024年4月1日より前に行われた相続についても遡及して適用されます(R3改正法附則5条6項)。過去の相続で不動産を取得したのに移転登記を行っていない者は、①2024年4月1日または②登記義務の要件を満たした日のいずれか遅い日から3年以内に相続登記をする義務があります。ただし、相続登記の義務化に伴う負担を軽減するために、相続人申告登記という制度が設けられており、この制度に基づいて法務局に申告を行うことにより申請義務は履行したものとみなされます。
  4. 適切。相続登記の義務者が、正当な理由なく相続登記の申請を怠った場合、10万円以下の過料に処されます。罰則が設けられたのは、法の実効力を担保し、相続登記の履行を促すためです(不動産登記法164条)。
したがって不適切な記述は[3]です。