不動産の見方(全27問中4問目)

No.4

不動産鑑定評価基準に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年5月試験 問34
  1. 原価法は、対象不動産が建物およびその敷地である場合において、再調達原価の把握および減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるため、対象不動産が土地のみである場合、適用することはできない。
  2. 取引事例比較法は、時点修正が可能である等の要件を満たす取引事例について、近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るものから選択するが、必要やむを得ない場合は、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るものから選択してもさしつかえない。
  3. 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の価格を求める手法であるため、自用の不動産には適用することはできない。
  4. 資産の流動化に関する法律に規定する資産の流動化の対象となる不動産について、鑑定評価目的のもとで投資家に示すための投資採算価値を表す価格は、特殊価格として求める。

正解 2

問題難易度
肢111.9%
肢260.1%
肢317.6%
肢410.4%

解説

  1. 不適切。原価法は、再調達原価を適切に求めることができるときは、土地にも適用することができます。土地の再調達原価は、同等の効用を有する土地の造成費に直接的な付帯費用を加算した額を基準にして、その後の地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算して求めます。
    原価法は、価格時点において対象不動産の再調達を想定した場合において必要とされる適正な原価の総額について減価修正を行って対象不動産の積算価格を求める手法である。2019.9-35-2
  2. [適切]。取引事例比較法においては、時点修正や事情補正が可能である等の要件をすべて満たした取引事例について、近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産を選択するのが原則です。ただし、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産から選択することができます。
    取引事例比較法の適用にあたっては、多数の取引事例を収集する必要があるが、取引事例は、原則として近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされている。2019.9-35-3
  3. 不適切。収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法で、直接還元法とDCF法の2つがあります。収益還元法は、賃貸不動産の価格を求める場合に特に有効な方法ですが、それに限らず文化財等一般的に市場性を有しないと認められる不動産以外のものには適用すべきとされています。自用の不動産であっても賃貸を想定することにより適用することが可能です。
  4. 不適切。資産流動化法の対象となる不動産について鑑定評価を行う、会社更生法や民事再生法に基づいて鑑定評価を行うなど、法令に基づき価格を求める場合には、特定価格として求めます。特殊価格は、文化財や公共施設などの市場性を有しない不動産について求める価格です。
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したがって適切な記述は[2]です。