不動産の見方(全27問中6問目)

No.6

不動産登記の効力に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2022年9月試験 問34
  1. 不動産の売買契約の締結後、買主への所有権移転登記をする前に、売主が当該不動産を買主以外の第三者に譲渡し、第三者が所有権移転登記をした場合、当初の買主はその第三者に対して所有権の取得を対抗することができる。
  2. 不動産登記記録を信頼して売買契約を締結した善意かつ無過失の買主は、所有権移転登記により不動産を自己の名義にすれば、たとえ真実の権利者から所有権移転登記の抹消や不動産の返還を求められたとしても、登記の公信力によりこれを拒むことができる。
  3. 仮登記は、順位保全の効力および対抗力があるため、これをもって第三者に対抗することができる。
  4. 借地権は、その登記がなくても、当該土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

正解 4

問題難易度
肢17.0%
肢214.8%
肢37.0%
肢471.2%

解説

  1. 不適切。不動産に関する権利の得喪は、登記をしなければ第三者に対抗することができません。したがって、不動産の二重譲渡があった場合には、先に登記をしたほうが他方に対して所有権を主張することができます。よって、当初の買主は登記を備えた第三者に対して所有権の取得を対抗することはできません。
    売主から不動産を購入した買主がその所有権移転登記をする前に、第三者が当該売主から当該不動産を購入して所有権移転登記をした場合、第三者が当初の売買があった事実を知らなかったときは、当初の買主は第三者に対して所有権の取得を対抗することができる。2019.5-34-4
    不動産売買契約により所有権移転登記をする前に、売主が当該不動産を第三者に譲渡し、第三者に所有権移転登記をした場合、当初の買主はその第三者に対して所有権の取得を対抗することができない。2014.9-34-1
  2. 不適切。不動産登記には対抗力はありますが公信力はないため、所有権移転登記により不動産を自己の名義にしたとしても、真実の権利者から所有権移転登記の抹消や返還を求められた場合、それを拒むことはできません。
  3. 不適切。仮登記は、本登記をするための要件が備わっていないときに、順位保全のために事前に行う登記です。仮登記は本登記と違い対抗力はないため、権利の設定や移転を第三者に対抗することはできません。
  4. [適切]。借地権は登記がなくても、その借地の上に借地権者名義で登記した建物を所有していれば、第三者に対抗することができます。
したがって適切な記述は[4]です。