不動産の取引(全41問中21問目)

No.21

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問における普通借地権とは、定期借地権等以外の借地権をいう。
2019年5月試験 問35
  1. 普通借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失し、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を借地権設定者の承諾を得て築造したときは、普通借地権は、その承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い日から30年間存続する。
  2. 普通借地権の存続期間が満了し、借地権設定者が借地契約を更新しない場合において、借地権者は、借地権設定者に対し、借地権者が権原により借地上に建築した建物について時価で買い取るべきことを請求することができる。
  3. 存続期間を10年以上30年未満とする事業用定期借地権等を設定する場合には、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。
  4. 建物譲渡特約付借地権の設定契約は、その設定後30年以上を経過した日に借地上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を特約として定め、公正証書により締結しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢19.2%
肢267.8%
肢315.7%
肢47.3%

解説

  1. 不適切。本肢のように承諾を得て建物を築造した場合、普通借地権は承諾のあった日または築造された日のいずれか早い日から20年間存続します(借地借家法7条)。
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  2. [適切]。借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができます。これを「建物買取請求権」といいます(借地借家法13条)。
    普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者に更新を拒絶する正当の事由がないときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。2021.1-36-1
  3. 不適切。存続期間を10年以上30年未満とする事業用定期借地権等には、更新拒絶の要件、建物の再築により存続期間の延長、建物請求権の規定は適用しないとされています。つまり、契約書面で定めなくても前述の効果があることになります(借地借家法23条2項)。
    存続期間を10年以上30年未満とする事業用借地権を設定する場合、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。2023.1-35-1
    存続期間を10年以上30年未満とする事業用借地権を設定する場合には、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。2022.1-35-1
    存続期間を30年以上50年未満として事業用定期借地権を設定するには、借地権設定契約の締結時に、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を特約として定める必要がある。2014.1-41-1
  4. 不適切。建物譲渡特約付借地権の契約方法には特に制限がありません。書面でも口頭でも認められます(借地借家法24条)。
    建物譲渡特約付借地権の設定契約は、公正証書により締結しなければならない。2015.1-36-1
したがって適切な記述は[2]です。