不動産の取引(全41問中32問目)

No.32

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
2015年9月試験 問35
  1. 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業務を行う事務所ごとに、その業務に従事する者5人に1人以上の割合で、成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
  2. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、宅地建物取引業者は、売買代金の額の1割を超える手付金を受領することはできない。
  3. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、宅地建物取引業者が目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を目的物の引渡しの日から3年間とする旨の特約は有効である。
  4. 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償額を予定し、または違約金を定めるときは、その合算額が売買代金の額の2割を超える部分は無効となる。

正解 2

問題難易度
肢14.3%
肢279.4%
肢310.3%
肢46.0%

解説

  1. 適切。宅地建物取引士は必置資格です。宅地建物取引業法では、成年者である宅地建物取引士の設置人数を、事務所で従業員5人につき1人以上、契約行為を行う案内所で1人以上と定めています(宅建業法規則15条の5の3)。
  2. [不適切]。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、買主から売買代金の2割を超える手付金を受領することは禁止されています。本肢は「1割」としているので誤りです(宅建業法39条)。
    宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、手付金を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、宅地建物取引業者が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付金を放棄して契約の解除をすることができる。2023.5-35-4
    宅地建物取引業者が自ら売主となる不動産の売買契約において、買主が宅地建物取引業者でない法人の場合、売主の宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することができる。2022.9-35-a
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、買主の承諾を得られれば、宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することができる。2021.1-35-1
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、「宅地または建物の引渡しがあるまでは、いつでも、買主は手付金を放棄して、売主は手付金を返還して契約を解除することができる」旨の特約は有効である。2021.1-35-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して手付金を受領し、当該契約に交付された手付金を違約手付金とする旨の特約が定められている場合、買主は手付金を放棄することにより契約を解除することはできない。2021.1-35-3
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して解約手付金を受領したときは、買主が契約の履行に着手するまでは、宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して契約を解除することができる。2021.1-35-4
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することはできない。2019.9-36-3
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して手付金を受領したときは、その手付金がいかなる性質のものであっても、買主が契約の履行に着手するまでは、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。2019.1-35-3
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約の締結に際して、宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することはできない。2016.1-35-1
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、買主が売主に対して解約手付金を交付した後、当該売買契約の履行に着手したとしても、売主が当該売買契約の履行に着手していなければ、買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができる。2016.1-35-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、交付された手付金を違約手付金とする旨の特約が定められていても、売主が当該売買契約の履行に着手していなければ、買主は手付金を放棄することにより契約を解除することができる。2016.1-35-3
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、「宅地または建物の引渡しがあるまでは、いつでも、買主は手付金を放棄して、売主は手付金を返還して契約を解除することができる」旨の特約は有効である。2016.1-35-4
    民法では、買主から売主に対して解約手付が交付された場合、内金を支払った後では、売主が当該売買契約の履行に着手していないときであっても、買主は、手付金を放棄することにより契約を解除することができない。2014.1-37-b
  3. 適切。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を引渡しから2年以上とする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利な特約をしてはいけません。本肢は「引渡しの日から3年間」としているので有効な特約となります(宅建業法40条)。
    宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合、その不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めたときは、その特約は無効となる。2023.5-35-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、宅地建物取引業者が目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間を目的物の引渡しの日から2年間とする旨の特約は有効である。2019.9-36-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となり、宅地建物取引業者ではない買主と締結する売買契約においては、宅地建物取引業法により、宅地建物取引業者が目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間が売買契約の締結日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利となる特約を締結することはできない。2017.9-36-b
    宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、宅地建物取引業者が目的物の契約不適合を担保すべき責任に関し、買主がその不適合を売主に通知すべき期間が売買契約の締結日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定よりも買主に不利となる特約を締結することはできない。2016.9-35-2
    宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、契約不適合を担保すべき責任については、契約解除等の期間を引渡日より1年以上とする特約以外に、民法の規定よりも買主に不利となる特約を締結することはできない。2014.9-36-3
  4. 適切。宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約では、債務不履行を理由とする損害賠償額の予定または違約金の設定する場合は、これらの合算額が売買代金の2割を超えてはいけません。2割を超えるときであっても全部が無効になるわけではなく、2割を超えた部分のみ無効となります(宅建業法38条)。
    宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地または建物の売買契約において、買主の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めた場合に、その合算額が売買代金の額の2割を超えるときは、当該売買契約自体が無効となる。2019.1-35-1
したがって不適切な記述は[2]です。