不動産の取引(全41問中38問目)

No.38

民法の規定による一般的な不動産取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2014年1月試験 問35
  1. 兄弟が共有名義で土地を買い、兄が5分の3、弟が5分の2の共有持分で所有権移転登記を行った場合、弟は、兄の承諾を得なければ自己の共有持分を売却することができない。
  2. 代理権を有しない者が代理人として売買契約を締結したが、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかった場合、相手方は、善意・無過失であれば、当該無権代理人に契約の履行または損害賠償を請求することができる。
  3. 未成年者が相続により不動産を取得した場合において、当該不動産を譲渡するには、法定代理人の同意を得なければならない。
  4. 不動産取引における売買の目的物に契約内容に適合しない事実があり、契約不適合の内容が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微でないときは、買主は契約の解除をすることができるとされるが、この権利を行使するためには、買主はその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢181.7%
肢27.2%
肢35.3%
肢45.8%

解説

  1. [不適切]。共有持分は所有権の一種ですから、各共有者は自己の持分を単独で処分できます。他の共有者の同意を得る必要はありません。土地自体を売却するためには、当然のことながら兄の同意を得る必要があります(民法251条)。
  2. 適切。代理権を有しない者が他人の代理人とした行為を「無権代理」といいます。無権代理の相手方は、本人に対して追認するかどうかを決めるように催告できますが、本人が追認しなかった場合には、善意無過失の相手方は、無権代理人に対して、契約の履行または損害賠償を請求できます(民法107条)。
    ※この場合の善意無過失とは、その無権代理人が代理権を有していないことを知らず、知らないことにつき過失がないことを指しています。
  3. 適切。未成年者が法律行為をする場合には法定代理人の同意が必要です。不動産の売買、賃貸借、車の購入、携帯電話の契約などの際には法定代理人の同意を得なければなりません。未成年者が法定代理人の同意を得ずにした行為は、後から取り消せるようになっています(民法5条)。
  4. 適切。売買の目的物に契約不適合があり、その不適合が軽微でないときは、買主は売買契約の解除をすることができます(民法541条)。売主の契約不適合責任を追及するには、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません(民法566条)。
したがって不適切な記述は[1]です。