不動産に関する法令上の規制(全61問中19問目)

No.19

生産緑地法に規定する生産緑地に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年9月試験 問37
  1. 生産緑地に係る農林漁業の主たる従事者が農林漁業に従事することを不可能にさせる故障を有するに至ったときは、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画についての都市計画法の規定による告示の日から起算して30年を経過していない場合であっても、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。
  2. 市町村長に対して生産緑地の買取りの申出を行い、その申出の日から3カ月以内に所有権の移転(相続その他の一般承継による移転を除く)が行われなかった場合、行為制限が解除され、宅地造成等の転用が可能となる。
  3. 生産緑地に対する固定資産税は、宅地並み課税により、更地に比べて、税負担が軽減されており、生産緑地の指定が解除されても、固定資産税を遡って納付する必要はない。
  4. 市町村長は、生産緑地の所有者等の同意を得て、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画についての都市計画法の規定による告示の日から起算して30年を経過する日までに、当該生産緑地を特定生産緑地として指定することができる。

正解 3

問題難易度
肢116.4%
肢235.6%
肢337.3%
肢410.7%

解説

  1. 適切。生産緑地地区の指定から30年が経過したとき、農林漁業の主な従事者が死亡・故障等により従事できなくなった場合には、市町村長にその生産緑地を時価で買い取るよう申し出ることができます(生産緑地法10条1項)。
  2. 適切。市町村長に生産緑地の買取りの申出を行った後、申出から3カ月以内に所有権の移転(相続等を除く)が行われなかった場合、行為制限が解除されて、宅地造成等の転用が可能となります(生産緑地法14条)。
    生産緑地の所有者が、申出基準日以後において、市町村長に対して当該生産緑地の買取りの申出を行い、その申出の日から3カ月以内に所有権の移転(相続その他の一般承継による移転を除く)が行われなかった場合、行為制限が解除され、宅地造成等の転用が可能となる。2022.9-37-1
  3. [不適切]。生産緑地地区に指定されると、指定から30年間は農地としての適正な管理、保全が義務付けられ、建築物の建築や宅地の造成等の行為が制限されますが、固定資産税・都市計画税が農地評価及び農地課税となり税負担が軽減されます。
    生産緑地の指定が解除された場合でも、減免されていた過去の固定資産税額を納付する必要はありません。また、本問では「生産緑地に対する固定資産税は、宅地並み課税」となっていますが、本来は「宅地並み課税」となる市街化区域内農地であっても「農地課税」になるのが生産緑地に対する軽減措置なので間違いです。
  4. 適切。市町村長は、生産緑地指定後30年を経過する日(申出基準日)までに、農地等利害関係人の同意を得て、生産緑地を特定生産緑地として指定することが可能です。特定生産緑地に指定されると、買取りの申出が可能となる期日が10年延長されます(生産緑地法10条の2)。
    2022年に指定から30年を迎える生産緑地が多くあることから、生産緑地の保全のために制定された規定です。
    特定生産緑地に指定された場合、買取りの申出をすることができる時期が、生産緑地地区に関する都市計画決定の告示の日から30年を経過する日から10年延長される。2022.9-37-3
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2020.1-38-3
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2019.1-37-4
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から30年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2017.1-37-2
    生産緑地の所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から起算して20年を経過した場合、市町村長に対して当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができる。2015.9-38-4
したがって不適切な記述は[3]です。