不動産に関する法令上の規制(全61問中52問目)

No.52

建築基準法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2016年1月試験 問36
  1. 商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率に関する制限の規定は適用されない。
  2. 建築物の敷地が建ぺい率の数値の異なる2つの地域にわたる場合は、各地域の建ぺい率の限度に各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じたものを合計した数値が、当該建築物の建ぺい率の限度となる。
  3. 前面道路の幅員が15m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値および当該前面道路の幅員に10分の4または10分の6を乗じた数値以下でなければならない。
  4. 建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、原則として、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。

正解 3

問題難易度
肢111.2%
肢27.3%
肢373.0%
肢48.5%

解説

  1. 適切。商業地域内の建築物には80%の建蔽率が適用されます(建築基準法53条1項4号)。建蔽率が80%である防火地域内に耐火建築物等を建築する場合は、建蔽率の制限がありません(建築基準法53条6項1号)。
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  2. 適切。建築物の敷地が建蔽率の異なる2つ以上の地域にわたる場合、その建蔽率の限度は、それぞれの地域の建蔽率を各面積割合で加重平均した値になります(建築基準法53条2項)。
    建築物の敷地が容積率の数値の異なる2つの地域にわたる場合、当該建築物の容積率は、各地域の容積率の限度に各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものを合計した数値が上限となる。2016.9-36-2
    建築物の敷地が建ぺい率の限度の異なる2つの用途地域にわたる場合、当該建築物の建ぺい率の限度は、各用途地域の建ぺい率の限度に各用途地域の面積の敷地面積に対する割合を乗じたものを合計した数値となる。2014.1-39-2
  3. [不適切]。前面道路の幅によって容積率の制限を受けるのは、前面道路が12m未満である敷地の建築物です。本肢は「15m未満」としているので誤りです(建築基準法52条2項)。
    前面道路が12m未満の敷地の建築物は次のいずれか低い方が容積率となります。
    • 都市計画の指定容積率
    • 前面道路の幅員×法定乗数
      ※法定乗数は住居系地域4/10、それ以外の地域6/10
    準住居地域において、前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値と当該前面道路の幅員に10分の6(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内は10分の8)を乗じた数値のいずれか少ない数値以下でなければならない。2021.9-36-1
    前面道路の幅員が15m未満である建築物の容積率は、都市計画で定められた数値および当該前面道路の幅員に10分の4または10分の6を乗じた数値以下でなければならない。2019.5-36-4
    前面道路の幅員が12m未満である敷地に建築物を建築する場合、当該建築物の容積率は、都市計画において定められた数値と前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得た数値のうち、いずれか高いほうの数値が上限となる。2016.9-36-1
  4. 適切。天井が地盤面から1m以下にある地階のうち、住宅または老人ホーム等の用途に供する部分は、その部分の床面積の3分の1を限度として、容積率算定上の延べ面積に算入しません(建築基準法52条3項)。
    共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、原則として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入する。2021.9-36-3
    共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。2019.5-36-1
    建築物の地階で住宅の用途に供する部分の床面積は、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の5分の1を限度として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。2019.5-36-3
    共同住宅の共用の廊下または階段の用に供する部分の床面積は、当該共同住宅の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。2016.9-36-4
したがって不適切な記述は[3]です。