不動産の取得・保有に係る税金(全20問中3問目)

No.3

固定資産税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年9月試験 問39
  1. 固定資産税の課税対象となるべき課税客体は、賦課期日において、市町村等に所在する土地、家屋および一定の事業用償却資産である。
  2. 私道が公共の用に供する道路である場合、原則として、当該私道の土地は固定資産税が課されない。
  3. 土地および家屋の固定資産税の課税標準は、地目の変換、家屋の改築または損壊等の特別の事情があり、基準年度の価格によることが不適当と市町村長が認める場合、基準年度の価格によらず、その土地等に類似する土地等の基準年度の価格に比準する価格とされる。
  4. 居住用超高層建築物(高さ60m超、複数の階に住戸があるタワーマンション)の固定資産税額は、区分所有者ごとに居住用および居住用以外の専有部分の床面積の合計を階層別専有床面積補正率により補正して、全体に係る固定資産税額が各区分所有者に按分される。

正解 4

問題難易度
肢115.6%
肢227.2%
肢315.2%
肢442.0%

解説

  1. 適切。固定資産税の課税客体は、賦課期日である毎年1月1日において、市町村等に所在する土地、家屋および一定の事業用償却資産(構築物、機械装置、器具備品など)です。
    【参考】課税客体とは、税金がかかる対象物や行為のことです。税金を課する者を課税主体といいます。
  2. 適切。私人が設置し維持管理をし、通行の用に供されている道は「私道」と呼ばれます。私道は個々の土地なので、原則として固定資産税の課税対象ですが、私道であっても、幅員4m以上で不特定多数の人が何ら制限なく自由に行き来できるなどの要件を満たせば「公共の用に供する道路」として認められます。「公共の用に供する道路」に認定された私道は、道路法の道路と同じく固定資産税が非課税となります。
  3. 適切。土地や家屋の固定資産税の課税標準は、原則として、基準年度ごとに評価され3年に一度見直しが行われます。しかし、地目の変換(例:雑種地から宅地に変換など)、家屋の改築、家屋の損壊等の事情があり、基準年度の評価額によることが不適当だと市町村長が認めた場合、市町村長はその土地・家屋に類似する他の土地・家屋の基準年度の価格に比準した価格を課税標準として固定資産税を課することができます。
  4. [不適切]。居住用以外の専有部分は、固定資産税のタワーマンション課税の対象外です。
    区分所有建物については、一棟の建物の固定資産税の総額を専有部分の床面積で按分した部分について各区分所有者が納付義務を負うのが原則です。しかし、居住用超高層建築物(高さ60m超のタワーマンション)では、同じ床面積であっても高層階に行くほど販売価格が高いため、単に床面積で按分するだけでは不公平感があります。このため、2017年4月1日以降に売買契約が締結された居住用超高層建築物では、居住用の専有部分に限り、低層階ほど安く高層階ほど高くなるよう階層別専有床面積補正率を乗じた床面積を使って固定資産税額を按分をすることになっています。
    【参考】階層別専有床面積補正率 … 居住用超高層建築物の1階を100とし、階が1つ増えるごとに10/39を加算した数値
    居住用と居住用以外の専有部分を含む場合には、床面積で居住用・居住用以外の税額を区分し、居住用部分の税額についてのみ上記の補正を行って各区分所有者の納付額を決定します。
    2023年中に新築され、売買契約が締結された居住用超高層建築物(高さ60m超、複数の階に住戸があるタワーマンション)の固定資産税額は、各住戸の専有部分の床面積、天井高、附帯設備の程度がいずれも同じと仮定すれば、高層階の住戸ほど高額になる。2022.1-39-4
したがって不適切な記述は[4]です。