不動産の譲渡に係る税金(全36問中16問目)

No.16

「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2020年1月試験 問40
  1. 介護保険法に基づく要介護認定を受けて相続が開始する1年前から特別養護老人ホームに入所していた被相続人Aさんがその入所直前まで居住していた家屋およびその敷地を相続したAさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができない。
  2. 被相続人Bさんが居住していた家屋およびその敷地を相続したBさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した年中に自己が居住の用に供している財産を譲渡した場合、長男の譲渡所得の金額の計算上、最大6,000万円を控除することができる。
  3. 被相続人Cさんが居住していた家屋およびその敷地を相続したCさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した前年に「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けていた場合、長男は本特例の適用を受けることができない。
  4. 被相続人Dさんが居住し、かつ、DさんとDさんの長男がそれぞれ2分の1の持分で共有していた家屋およびその敷地について、長男がDさんの持分を相続し、当該家屋およびその敷地の全体を1億2,000万円で譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができない。

正解 4

問題難易度
肢14.5%
肢212.0%
肢330.9%
肢452.6%

解説

本特例は、被相続人の死亡により空き家になった居住用財産(家屋及び敷地)を、相続や遺贈により取得した人が譲渡した場合に、譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除できる特例です。
  1. 不適切。本特例は、対象となる家屋が相続の開始の直前において被相続人の居住に供されていることを要件としていますが、被相続人が要介護/要支援を受けて①老人ホーム、②介護医療保健施設、③サービス付き高齢者向け住宅に入居・入所していた場合には本特例の対象となります。なお、対象となる家屋は入居・入所から相続開始の直前まで引き続き被相続人の物品の保管等に使用されていなければなりません。
    被相続人であるAさんは、介護保険法に基づく要介護認定を受けて相続が開始する1年前に特別養護老人ホームに入所し、住民票を異動していた。Aさんの相続が開始し、Aさんが入所前に居住していた家屋およびその敷地を相続により取得したAさんの長男が当該家屋およびその敷地を譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができる。2018.1-40-1
    2023年10月1日に相続が開始し、被相続人居住用家屋およびその敷地等を相続により取得した者は、2026年9月30日までに当該家屋およびその敷地等を譲渡しなければ、本特例の適用を受けることができない。2017.1-40-2
  2. 不適切。本特例と、居住用財産の3,000万円特別控除は併用は可能ですが、同一年中に併用する場合には、2つの特例合わせて3,000万円が控除限度額となります。
    被相続人であるBさんが居住していた家屋およびその敷地を、Bさんの長男と二男がそれぞれ2分の1の共有持分で相続し、長男と二男が共同して当該家屋およびその敷地の全体を譲渡して本特例の適用を受けた場合、長男と二男の譲渡所得の金額の計算上、それぞれ最高3,000万円を控除することができる。2018.1-40-2
  3. 不適切。本特例は、居住用財産の3,000万円特別控除や買換え特例のいずれかと併用することが可能です。本特例と併用できないのは「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」や「収用等の場合の特別控除」などです。
    被相続人の居住用家屋およびその敷地を被相続人の子が相続により取得して譲渡した場合、譲渡の前年において、その子が自己の居住用財産について「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受けている場合であっても、子は本特例の適用を受けることができる。2022.5-40-3
  4. [適切]。本特例の適用を受けるには売却代金が1億円以下でなければなりません。1億円以下であるかどうかの判定は、相続の時からこの特例の適用を受けて被相続人の居住用財産を売却した日から3年後の12月31日までの間に分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により行います。
    被相続人であるCさんが居住していた家屋およびその敷地は、相続の開始の直前においてCさんとCさんの長男がそれぞれ2分の1の持分で共有していた。Cさんの相続によりCさんが有していた持分を取得した長男が当該家屋およびその敷地の全体を1億2,000万円で譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができない。2018.1-40-3
    被相続人であるDさんは、相続の開始の直前において、自己が所有する土地の上にあり、かつ、Dさんの長男が所有する家屋に居住していた。Dさんの相続により当該家屋の敷地を取得した長男が当該家屋およびその敷地の全体を8,000万円で譲渡した場合、長男は本特例の適用を受けることができる。2018.1-40-4
したがって適切な記述は[4]です。