不動産の譲渡に係る税金(全36問中32問目)

No.32

Aさんは、その所有する甲土地または乙土地とBさん(Aさんの親族など特殊関係者ではない)の所有する丙土地とを交換したいと考えている。「固定資産の交換の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各土地の面積、時価(通常の取引価額)は以下のとおりである。また、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
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2015年9月試験 問41
  1. 甲土地と丙土地とを交換差金なしで交換した場合において、交換直後にBさんが取得した甲土地を第三者に売却したとしても、Aさんは本特例の適用を受けることができる。
  2. 甲土地と丙土地とを交換差金なしで交換した場合において、Bさんが丙土地を所有していた期間が1年未満であったときは、Aさんは本特例の適用を受けることができない。
  3. 乙土地と丙土地とを交換差金なしで交換した場合において、丙土地の価額を8,000万円とすることにAさんとBさんが合意し、その価額が合理的に算定されていると認められるときは、Aさんは本特例の適用を受けることができる。
  4. Aさんが、乙土地のうち100㎡を分筆してBさんに2,000万円で売却するとともに、残りの300㎡(6,000万円)を丙土地と交換した場合には、等価による交換であるため、Aさんは本特例の適用を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢111.0%
肢212.5%
肢322.1%
肢454.4%

解説

固定資産の交換の譲渡所得の特例とは、個人が土地と土地、建物と建物などのように同じ種類の固定資産を交換したときに、その譲渡がなかったものとする特例です。本特例の適用を受けるためには下記6つの要件を満たす必要があります。
  1. 同じ種類の資産の交換であること(借地権は土地とみなす)
  2. 交換対象資産が販売のために所有している固定資産(棚卸資産)でないこと
  3. 譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること
  4. 取得する資産は、相手が1年以上所有していたものであり、交換のために取得したものでないこと
  5. 取得する資産を交換前と同じ用途で使用すること
    取得資産を交換直後に譲渡するとNG
  6. 交換する資産同士の時価の差額が、高い方の価額の20%以内であること
なお、交換差金がある場合には、授受した交換差金が譲渡所得として所得税の課税対象となります。
  1. 適切。甲土地と丙土地は時価が同じなので特例の適用対象です。交換直後に売却すると「取得する資産を交換前と同じ用途で使用すること」を満たさないので売却した人は適用対象外となります。本肢の場合、取得した資産を売却したBさんは適用を受けられませんが、Aさんは売却していないので適用を受けられます。
  2. 適切。取得する資産、譲渡する資産ともに所有期間が1年以上であることが要件となっています。
  3. 適切。固定資産の交換があった場合において、交換当事者間において合意されたその資産の価額が交換をするに至った事情等に照らし合理的に算定されていると認められるものであるときは、その合意された価額が通常の取引価額と異なるときであっても、合意された金額で交換されたものと認められます。
  4. [不適切]。同一人に対して、1つの土地の一部を交換、一部を売買する場合、一の行為とみなし売買代金を交換差金として扱います。時価が高い乙土地の20%は「8,000万円×20%=1,600万円」であり、差額の2,000万円が20%を超えていることから特例の適用対象外となります。
したがって不適切な記述は[4]です。