不動産の譲渡に係る税金(全36問中6問目)

No.6

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2022年5月試験 問40
  1. 被相続人の居住用家屋およびその敷地(地積500㎡、時価1億5,000万円)を相続により取得した被相続人の子が、居住用家屋を取り壊して敷地を2つに分筆(各250㎡)し、一方の敷地を7,500万円で譲渡し、残りの敷地を事業用借地権により賃貸した場合、その譲渡について、子は本特例の適用を受けることができない。
  2. 被相続人が生前に有料老人ホームに入居したため、被相続人の居住の用に供されなくなっていた家屋およびその敷地を被相続人の子が相続により取得して譲渡した場合、被相続人が有料老人ホームの入居時に介護保険法に規定する要介護認定または要支援認定を受けていなければ、その家屋は被相続人居住用家屋に該当せず、子は本特例の適用を受けることができない。
  3. 被相続人の居住用家屋およびその敷地を被相続人の子が相続により取得して譲渡した場合、譲渡の前年において、その子が自己の居住用財産について「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受けている場合であっても、子は本特例の適用を受けることができる。
  4. 被相続人の居住用家屋およびその敷地を被相続人の子が相続により取得して譲渡した場合において、子が本特例の適用を受けるためには、確定申告書に譲渡資産の所在地を管轄する市町村長または特別区長から交付を受けた被相続人居住用家屋等確認書を添付する必要がある。

正解 1

問題難易度
肢137.3%
肢229.3%
肢323.0%
肢410.4%

解説

  1. [不適切]。本特例の適用を受けるに当たり、譲渡対価が1億円以下という要件があります。1億円以下であるかどうかの判定は、相続の時から本特例の適用を受けて被相続人の居住用財産を売却した日から3年後の12月31日までの間に行われた売却対価の総額により判定されます。したがって、相続した1億円超の物件を分筆し、その一部を1億円以下で売却すれば、本特例の適用を受けることが可能です。
  2. 適切。本特例は、対象となる家屋が相続の開始の直前において被相続人の居住に供されていることを要件としていますが、被相続人が要介護・要支援を受けて①老人ホーム、②介護医療保健施設、③サービス付き高齢者向け住宅に入居・入所していた場合には本特例の対象となります。なお、対象となる家屋は入居・入所から相続開始の直前まで引き続き被相続人の物品の保管等に使用されていなければなりません。
  3. 適切。本特例と3,000万円特別控除は併用可能ですが、同一年中に併用する場合には、2つの特例の合わせて3,000万円が控除限度額となります。
    被相続人Cさんが居住していた家屋およびその敷地を相続したCさんの長男が、当該家屋およびその敷地を譲渡した前年に「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けていた場合、長男は本特例の適用を受けることができない。2020.1-40-3
  4. 適切。本特例の適用を受けるには、確定申告書に市町村長等の交付した被相続人居住用家屋等確認書を添付することが必要になります。被相続人居住用家屋等確認書は、本特例の要件となっている下記3点について市町村長等が証明するものです。
    • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
    • 相続の開始の直前において当該相続または遺贈に係る被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
    • 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと
したがって不適切な記述は[1]です。