不動産の有効活用(全3問中3問目)

No.3

Aさんは、所有する土地の一部をデベロッパーに譲渡し、デベロッパーがその土地上に建設した建築物の一部を取得することを検討している。「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(立体買換えの特例。租税特別措置法第37条の5。以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、本特例の表二号(中高層の耐火共同住宅)に限定するものとし、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2017年1月試験 問41
  1. Aさんが譲渡した土地が、譲渡直前において事業の用または居住の用に供されておらず、遊休地であった場合、本特例の適用を受けることはできない。
  2. Aさんは、原則として土地を譲渡した日から1年以内に建物を取得し、当該建物を事業の用または居住の用に供さなければ、本特例の適用を受けることはできない。
  3. Aさんが取得した建物が、建築基準法に規定する耐火建築物または準耐火建築物に該当する地上階数3以上の建築物で、その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものでなければ、本特例の適用を受けることはできない。
  4. Aさんが建築物の一部とともに交換差金を受け取った場合において、当該交換差金の額が譲渡した土地と取得した建物とのいずれか高いほうの価額の20%を超えているときは、本特例の適用を受けることはできない。

正解 3

問題難易度
肢15.2%
肢224.4%
肢349.1%
肢421.3%

解説

「立体買換えの特例」は、個人が三大都市圏の既成市街地内に有する土地等・建物・構築物を中高層耐火共同住宅の建築のために譲渡し、原則として同年中に、買換資産としてその土地上に建築される中高層耐火共同住宅を取得し、取得日から1年以内に居住用(賃貸もOK)に使用した場合(使用する見込みも含む)、譲渡収入から買替資産の取得価額を差し引くことで課税の繰り延べを受けられる制度です。等価交換方式でよく用いられます。

譲渡資産は、土地等・建物・構築物のどれかであることが必要ですが、所有期間や用途は問われません。
買替資産は、①地上3階建て以上、②耐火建築物または準耐火建築物、③床面積の2分の1以上が居住用であることが必要です。
  1. 不適切。本特例では、譲渡資産の用途は問われません。よって、遊休地でも適用を受けることができます。
    Aさんが譲渡した土地が、譲渡直前において事業の用または居住の用に供されておらず、遊休地であった場合、本特例の適用を受けることはできない。2020.1-41-1
    Aさんは、原則として土地を譲渡した日から1年以内に建物を取得し、当該建物を事業の用または居住の用に供さなければ、本特例の適用を受けることはできない。2017.1-41-2
  2. 不適切。本肢は「譲渡した日から1年以内」としているので誤りです。
    本特例の適用を受けるには、原則として譲渡した年中に買替資産を取得しなければなりません。例外的に、譲渡した年の翌年中に買換資産を取得する見込みであり、その取得の日から1年以内に事業用または居住用に供する見込みであれば適用を受けることができます。
    Aさんが譲渡した土地が、譲渡直前において事業の用または居住の用に供されておらず、遊休地であった場合、本特例の適用を受けることはできない。2020.1-41-1
    Aさんが譲渡した土地が、譲渡直前において事業の用または居住の用に供されておらず、遊休地であった場合、本特例の適用を受けることはできない。2017.1-41-1
  3. [適切]。買替資産は、①地上3階建て以上、②耐火建築物または準耐火建築物、③床面積の2分の1以上が居住用であることが必要です。
  4. 不適切。「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」と異なり、交換差金が20%を超えても本特例の適用を受けられます。
したがって適切な記述は[3]です。