相続と税金(全56問中19問目)

No.19

相続税法における死亡保険金の非課税金額の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢における死亡保険金は、いずれも契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約に基づくものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
2021年5月試験 問46
  1. 被相続人が死亡保険金の一部をリビング・ニーズ特約によって生前に受け取っていた場合に、その受け取った金額のうち、相続財産として相続税の課税対象となった金額については、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。
  2. 死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割協議の結果、死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取った死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定が適用されない。
  3. 死亡保険金受取人となっている相続人が、死亡保険金とともに受け取った積立配当金や払戻しによる前納保険料については、死亡保険金とともに死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。
  4. 死亡保険金受取人となっている相続人が、受け取った死亡保険金について死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けるためには、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢126.2%
肢26.8%
肢349.5%
肢417.5%

解説

  1. 不適切。リビングニーズ特約により生前に受け取った死亡保険金は、受取時に所得税で非課税となっているので、相続時に残っていた額があっても死亡保険金の非課税枠の適用はありません。
  2. 不適切。本規定は相続放棄した者が取得した死亡保険金については適用されませんが、本肢のように相続放棄ではなく、死亡保険金以外の相続財産を一切取得しなかった相続人については適用があります(相続税法12条1項5号)。
    死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2023.9-46-1
    死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割協議の結果、死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合であっても、その者が受け取った死亡保険金は、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2018.9-45-2
    死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2018.9-45-3
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2016.9-46-3
  3. [適切]。前納保険料が残っている間に死亡した場合には死亡保険金とともに返還されます。この返還された前納保険料はみなし相続財産として相続税の課税対象になり、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます。その他、配当金、割戻金、未経過保険料についても本規定の適用対象となります(相基通3-8)。
    死亡保険金受取人となっている相続人が、死亡保険金とともに受け取った払戻しによる前納保険料は、死亡保険金とともに死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2018.9-45-1
  4. 不適切。死亡保険金や死亡退職金の非課税の規定の適用を受け、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告は不要です。これに対して「配偶者の相続税額の軽減」や「小規模宅地等の評価減の特例」の適用を受けることにより、相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、申告が必要となります。
    死亡保険金の非課税金額の規定を適用することによって相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。2023.9-46-2
    相続人が受け取った死亡退職金について本規定の適用を受け、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下である場合、相続税の申告書を提出する必要はない。2020.9-47-4
    死亡保険金受取人となっている相続人が受け取った死亡保険金について死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けるためには、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。2018.9-45-4
したがって適切な記述は[3]です。