相続と税金(全56問中28問目)

No.28

相続税の延納および物納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2019年9月試験 問46
  1. 納付すべき相続税額が10万円を超える場合、納税者は、納期限までに所定の申請をすることにより、相続税の延納または物納を任意に選択することができる。
  2. 相続財産のうち不動産等の価額が占める割合が50%未満であり、延納税額が35万円である場合、延納税額の延納期間は、最長4年となる。
  3. 物納に充てることができる財産には、その種類による申請順位があり、不動産や国債・地方債は第1順位、上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。
  4. 相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により物納に変更する場合、当該物納に係る財産の収納価額は、原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となった当該財産の価額となる。

正解 2

問題難易度
肢16.3%
肢250.6%
肢318.0%
肢425.1%

解説

  1. 不適切。相続税の物納は、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合にだけ、申請することより、その納付を困難とする金額を限度として認められます。納税者が自由に選択できるわけではありません(相続税法41条1項)。
  2. [適切]。延納税額が50万円(相続財産のうち不動産等の価額が占める割合が50%以上のときは150万円)未満であるときは、延納の年数は「延納税額÷10万円(端数切上げ)」が上限となります。本肢は、不動産50%未満で50万円未満ですから、延納期間の上限は「35万円÷10万円=3,5年⇒4年」となります(相続税法38条1項)。
    相続財産のうち不動産等の価額が占める割合が50%以上であり、延納税額が90万円ある場合、延納税額の延納期間は、最長9年となる。2023.9-47-1
    相続財産のうち不動産等の価額が占める割合が75%以上である場合、不動産等の価額に対応する部分の延納税額の延納期間は、原則として、最長で30年である。2015.9-48-1
    相続財産のうち不動産等の価額が占める割合が50%以上75%未満である場合、不動産等の価額に対応する部分の延納税額の延納期間は、原則として、最高10年である。2014.1-45-2
  3. 不適切。上場株式は第1順位です。相続税において、物納に充てることができる財産の種類には申請順位があります。第1順位は「不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等」、第2順位は「非上場株式等」、第3順位は「動産」と規定されています(相続税法41条5項)。
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    物納に充てることができる財産は、相続税の課税価格の計算の基礎となった財産であるが、その種類による申請順位があり、不動産は第1順位、国債や地方債、上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。2021.5-47-2
    物納に充てることができる財産には、その種類による申請順位があり、不動産や上場株式は第1順位、非上場株式は第2順位、動産は第3順位とされている。2018.9-46-2
    物納に充てることができる財産の種類には申請順位があり、第1順位は金銭に換価しやすい国債、地方債、上場株式等の金融商品となる。2015.1-47-3
  4. 不適切。相続税の課税価格ではありません。延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について延納から物納への変更を行うことができます。これを「特定物納」といいます。特定物納に係る財産の収納価額は、物納申請時の時価となります(相続税法48条の2第5項)。
    相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により物納に変更する場合、当該物納に係る財産の収納価額は、原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となった当該財産の価額となる。2023.9-47-3
    相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により物納に変更する場合において、相続税額の計算上、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けている財産は、物納に充てることができない。2018.9-46-4
    延納を選択した者が物納に変更した場合、当該物納に係る特定物納申請財産の収納価額は、原則として相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額である。2015.1-47-4
    相続税の納付方法として延納を選択した者が物納に変更した場合、当該物納に係る特定物納申請財産の収納価額は、相続税の課税価格の計算の基礎となった相続財産の価額ではなく、原則として、当該特定物納に係る申請の時の価額となる。2014.1-45-4
したがって適切な記述は[2]です。