相続と税金(全56問中3問目)

No.3

相続税における課税財産および非課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2023年9月試験 問46
  1. 死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。
  2. 死亡保険金の非課税金額の規定を適用することによって相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合、相続税の申告書を提出する必要はない。
  3. 相続開始の時において、まだ定期金給付事由が発生していない定期金給付契約(生命保険契約を除く)で被相続人が掛金の全部を負担し、被相続人以外の者が当該定期金給付契約の契約者である場合、当該契約に関する権利を当該契約者が相続または遺贈により取得したものとみなされる。
  4. 被相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者である生命保険において、死亡保険金の額から契約者貸付金の額が控除された保険金を相続人が受け取った場合、控除された契約者貸付金の額を当該保険金に加算した金額に相当する保険金を相続または遺贈により取得したものとみなされる。

正解 4

問題難易度
肢112.7%
肢213.2%
肢319.3%
肢454.8%

解説

  1. 適切。死亡保険金の非課税金額の規定は、相続人が死亡保険金を取得した場合に適用されます。このため、相続を放棄した者には本規定の適用はありません。相続を放棄した者が受け取った死亡保険金は、本規定の適用上なかったものとされます(相基通12-8)。
    死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割協議の結果、死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合、その者が受け取った死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定が適用されない。2021.5-46-2
    死亡保険金受取人となっている相続人が、遺産分割協議の結果、死亡保険金以外の財産をいっさい取得しなかった場合であっても、その者が受け取った死亡保険金は、死亡保険金の非課税金額の規定が適用される。2018.9-45-2
    死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2018.9-45-3
    契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている相続人が相続の放棄をした場合、その者が受け取る死亡保険金については、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2016.9-46-3
  2. 適切。死亡保険金や死亡退職金の非課税の規定の適用を受け、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告は不要です。
    一方「配偶者の相続税額の軽減」や「小規模宅地の評価減の特例」の適用を受けることにより、相続税の課税価格が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、申告が必要となります。
    死亡保険金受取人となっている相続人が、受け取った死亡保険金について死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けるためには、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。2021.5-46-4
    相続人が受け取った死亡退職金について本規定の適用を受け、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下である場合、相続税の申告書を提出する必要はない。2020.9-47-4
    死亡保険金受取人となっている相続人が受け取った死亡保険金について死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けるためには、適用後の相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であっても、相続税の申告書を提出しなければならない。2018.9-45-4
  3. 適切。保険契約が、契約者ではなく保険料負担者を基準として相続財産性を判断するように、定期金給付契約についても被相続人が掛金・保険料を負担したものであれば、契約者にかかわらず被相続人から相続や遺贈により取得したとみなされます(相続税法3条1項4号)。
  4. [不適切]。被相続人が生前に契約者貸付金を利用していた場合、死亡保険金と契約者貸付金の額は相殺され、借入額が控除された保険金が支払われます。このとき相続税の課税上は、実際に受け取った死亡保険金の額を取得したものとし、契約者貸付金の返済債務はなかったものとされます(相基通3-9)。
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、相続人が死亡保険金のほかに払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2015.10-46-2
    契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である生命保険契約において、被相続人の子が死亡保険金のほかに、払戻しによる前納保険料を受け取った場合、当該前納保険料は相続税の課税対象となる。2014.1-47-2
したがって不適切な記述は[4]です。