不動産の相続対策(全14問中5問目)

No.5

2024年4月に死亡した被相続人Aさんが所有し、長男Bさんが相続により取得した甲土地および乙土地の概要は、下記のとおりである。甲土地および乙土地に対する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

〈甲土地の概要〉
  • Aさんが居住の用に供していた自宅の敷地(200㎡)である。
  • Aさんの配偶者は既に死亡しており、同居親族もいない。
  • 長男Bさんは、20年前から賃貸マンションに居住しており、これまでに自己または自己の配偶者が持家を取得したことはない。
  • 長男Bさんは、相続により取得した甲土地上の自宅を、相続税の申告期限前に第三者に賃貸した。
〈乙土地の概要〉
  • Aさんが所有している賃貸アパート(10室)の敷地(240㎡)である。
  • Aさんは、乙土地および賃貸アパートを2023年6月に取得し、同月中に貸付事業を開始した。
  • Aさんは、乙土地上の賃貸アパート以外に貸付事業は行っていない。
  • 長男Bさんは、相続により取得した乙土地に係る貸付事業を承継し、相続税の申告期限まで引き続き営んでいる。
2019年5月試験 問49
  1. 甲土地は特定居住用宅地等に該当し、乙土地は貸付事業用宅地等に該当する。
  2. 甲土地は特定居住用宅地等に該当し、乙土地は貸付事業用宅地等に該当しない。
  3. 甲土地は特定居住用宅地等に該当せず、乙土地は貸付事業用宅地等に該当する。
  4. 甲土地は特定居住用宅地等に該当せず、乙土地は貸付事業用宅地等に該当しない。

正解 2

問題難易度
肢123.1%
肢240.2%
肢327.5%
肢49.2%

解説

[甲土地]
特定居住用宅地等に係る取得者ごとの要件は以下の通りです。
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Aさんには配偶者も同居親族もいないので、長男Aさんが「家なき子特例」の要件を満たすかを考えます。長男Aさんは、持家に住んだことがなく、申告期限まで宅地の所有権を有している(譲渡はダメですが賃貸はOK)ので本特例の適用対象となります

[乙土地]
貸付事業用宅地等に係る取得者ごとの要件は以下の通りです。
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〈乙土地の概要〉に、「Aさんは、乙土地および賃貸アパートを2023年6月に取得し、同月中に貸付事業を開始した」「Aさんは、乙土地上の賃貸アパート以外に貸付事業は行っていない」とあるので、死亡前3年を超えて事業的規模の貸付事業を行っていないことがわかります。したがって、相続開始3年以内に賃貸事業に供した乙土地は、本特例の要件を満たしません

したがって適切な記述は[2]です。