不動産の相続対策(全14問中9問目)

No.9

配偶者に先立たれたAさんは、自己が所有する宅地(300㎡)の上に、生計を別にする長男およびその家族と同居するための一棟の二世帯住宅の建築を検討している。この二世帯住宅は、2階建てで、お互いのプライバシーに配慮して、家屋の外部に階段を設置し、家屋の内部で行き来ができない構造とし、Aさんが居住する1階部分と別生計の長男家族が居住する2階部分の床面積は同一である。Aさんは、自己の相続開始時に、当該敷地を長男が相続し、特定居住用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)の適用を受けられるようにしたいと考えている。
Aさんが建築を検討している二世帯住宅の所有形態等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、Aさんと長男との間で家賃・地代の授受はなく、Aさんの財産は長男が相続によりすべて取得するものとする。また、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
2016年9月試験 問49
  1. Aさんが住宅の建設資金のすべてを負担して建物登記をした場合、Aさんの相続開始時、当該敷地のすべての部分について本特例の適用を受けることができる。
  2. Aさんと長男が住宅の建設資金を折半して負担し、持分をそれぞれ50%として共有登記をした場合、Aさんの相続開始時、当該敷地の2分の1に相当する部分のみについて本特例の適用を受けることができる。
  3. Aさんと長男が住宅の建設資金を折半して負担し、それぞれが居住の用に供する部分について区分所有建物登記をした場合、Aさんの相続開始時、当該敷地のすべての部分について本特例の適用を受けることはできない。
  4. 長男が住宅の建設資金のすべてを負担して建物登記をした場合、Aさんの相続開始時、当該敷地のすべての部分について本特例の適用を受けることができる。

正解 2

問題難易度
肢19.0%
肢236.3%
肢328.2%
肢426.5%

解説

  1. 適切。二世帯住宅で、内部が構造上独立している(行き来ができない)家屋についても本特例の対象となります。敷地及び建物を被相続人が所有したのであれば、330㎡を限度に80%相当額が減額されます。
  2. [不適切]。本特例は、二世帯住宅で内部が構造上独立していても適用可能であり、建物の持分を共有登記した場合でも、被相続人の居住の用に供していた土地として、敷地すべてについて適用を受けることができます。
  3. 適切。二世帯住宅では内部が独立していても適用可能ですが、それぞれ居住の用に供する部分について区分所有建物登記しているときは、敷地すべてについて特例が適用されません。区分所有建物の場合には、専有部分の所有権と敷地利用権が子にあり、また子は同居ではないとみなされるからです。
  4. 適切。本特例は、二世帯住宅で内部が構造上独立していても適用可能であり、建物が被相続人の所有になかった場合でも、被相続人の居住の用に供していた土地として、敷地すべてに本特例の適用を受けることができます。
したがって不適切な記述は[2]です。
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