FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問37

問37

マンションの建替え等の円滑化に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. マンションが外壁の剥落より周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして一定の基準に該当する場合であっても、マンションが地震に対する安全性に係る建築基準法の規定等に適合している場合は、特定要除却認定の申請をすることはできない。
  2. 特定要除却認定を受けたマンションを含む団地の場合、団地建物所有者集会において、特定団地建物所有者および議決権の各5分の4以上の多数により、当該特定団地建物所有者の共有に属する団地内建物の敷地を分割する旨の決議をすることができる。
  3. マンションおよびその敷地の売却決議に反対した区分所有者は、マンションおよびその敷地の売却を行う組合に対し、区分所有権および敷地利用権を時価で買い取るよう請求することができる。
  4. 要除却認定マンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、一定規模以上の敷地面積を有し、交通上、安全上、防火上および衛生上支障がなく、かつ、市街地の環境の整備・改善に資するものについては、特定行政庁の許可により建築基準法による建蔽率制限が緩和される。

正解 2

問題難易度
肢13.9%
肢225.0%
肢321.1%
肢450.0%

解説

老朽化が進んだり管理組合の担い手が不足したりといった問題を抱えた築年数の長いマンションについて、円滑なマンションの建替えや適正な維持管理をするために、マンション管理適正化法とマンション建替え円滑化法が改正・施行されています。これにより、対象となるマンションが拡充されたり、建替えがしやすくなったりしています。
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  1. 不適切。特定要除却認定は、建替えを要するマンションであることを特定行政庁が認定する制度で、この認定を受けると、❶建替えの際の容積率緩和、❷敷地売却決議、❸団地における敷地分割決議、の制度を利用することができます。これまでは耐震性不足のマンションのみが要除却認定の対象でしたが、火災安全性不足または外壁等剥落危険性があるマンションについても特定要除却認定の対象となるように拡充されています(建替え円滑化法102条)。
  2. [適切]。特定要除却認定を受けたマンションを含む団地では、集会で敷地を共有する所有者および議決権の各5分の4以上の賛成により、団地内の敷地を分割する決議をすることができます。これまでは民法の原則どおり、共有者全員の同意が必要でしたが、この改正により、棟や区画ごとのニーズに応じ、団地の一部棟を存置しながらその他の棟の建替えや敷地売却を行うことが可能となりました(建替え円滑化法115条の4)。
  3. 不適切。マンションの敷地の売却決議に反対した者は、区分所有建物の一棟の建替え決議に反対した者と同様に扱われます。つまり、賛成した側から反対した者に対して権利を売り渡すよう請求をすることができますが、反対した者から買取り請求をする権利はありません(建替え円滑化法108条)。
  4. 不適切。緩和されるのは建蔽率ではなく容積率です。要除却認定マンションの建替えにより新たに建築される一定規模以上のマンションで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上および衛生上支障がなく、市街地の環境整備等に総合的な配慮がなされていると認めて許可をした場合、容積率の制限が緩和されます(建替え円滑化法105条)。
したがって適切な記述は[2]です。