年金と税金(全7問中1問目)

No.1

公的年金の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、公的年金等に非課税となるものは含まれないものとする。
2023年1月試験 問7
  1. その年の12月31日において65歳以上の者がその年中に支払を受けるべき公的年金等の収入金額が180万円である場合、その支払の際、所得税および復興特別所得税は源泉徴収されない。
  2. 公的年金等の支払者に対して「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出することができない確定給付企業年金等の公的年金に係る源泉徴収税率(所得税および復興特別所得税の合計)は、10.21%である。
  3. 公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、原則として確定申告の必要はない。
  4. 公的年金等から介護保険料等の保険料が特別徴収されている場合、その公的年金等の金額に相当する金額から当該保険料の金額を控除した残額に相当する金額の公的年金等の支払があったものとみなして、源泉徴収税額の計算をする。

正解 1

問題難易度
肢147.0%
肢221.6%
肢313.1%
肢418.3%

解説

  1. [不適切]。公的年金等が源泉徴収の対象となるのは、年間支払見込額が基礎控除額と公的年金控除額の最低額を超える場合です。したがって、65歳未満であれば「48万円+60万円=108万円」以上、65歳以上であれば原則として「48万円+110万円=158万円」以上の人が源泉徴収の対象です。よって、65歳・年額180万円である場合は源泉徴収されます(所得税法203条の7)。
  2. 適切。公的年金等からの源泉徴収の税率は原則として合計5.105%ですが、DB法に基づいて支給される年金は、支払額から25%を控除した額(人的控除の適用はなし)に対して合計10.21%の税率で源泉徴収されます。その他、恩給・小規模企業共済の分割支給の共済金・中退共の分割退職金なども同様の取り扱いとなります(所得税法203条の3)。
  3. 適切。公的年金等の受給者が確定申告不要となるのは、次の2つをともに満たす場合です(所得税法121条)。
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下であり、それら全てから源泉徴収されていること
    2. 公的年金等以外の所得金額の合計が20万円以下であること
  4. 適切。公的年金等から社会保険料が控除される場合、その社会保険料の額を控除した残額を公的年金等の支払額とみなして源泉徴収額を計算します(所得税法203条の5)。ちなみに給与計算において源泉徴収額を計算する際も同じく、社会保険料控除の金額を差し引いた額をベースに源泉徴収額を計算します。
したがって不適切な記述は[1]です。