社会保険(全68問中12問目)

No.12

労働者災害補償保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年1月試験 問2
  1. 労働者が勤務先から帰宅途中に通勤経路から逸脱し、スーパーで日用品を購入後、通勤経路に戻ってから負傷した場合、その逸脱・中断が日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合、その負傷は通勤災害に該当する。
  2. 労働者が出張先から帰宅途中に負傷した場合、出張の過程全般について事業主の支配下にあり、積極的に私的行為を行うなど特段の事情がない限り、その負傷は通勤災害に該当する。
  3. 派遣労働者が、派遣先で生じた業務災害により療養補償給付を受けようとする場合、派遣先の事業を労働者災害補償保険の適用事業として、療養補償給付に係る請求書に派遣先事業主の証明を受ける必要がある。
  4. 複数の会社に勤務する複数事業労働者の休業補償給付の額は、原則として、業務災害が発生した勤務先の賃金に基づいて計算した給付基礎日額の100分の60に相当する額となる。

正解 1

問題難易度
肢179.1%
肢212.3%
肢33.7%
肢44.9%

解説

  1. [適切]。通勤途中に日常生活に必要な最小限度を超えて移動の経路を逸脱(寄り道)したり、移動を中断したりした場合は、その後通常の経路に戻って移動したとしても中断の間およびその後は「通勤」とはなりません(労災保険法7条3項)。
    どのケースが日常生活に必要であるかは個々の事例によりますが、スーパーで日用品を購入する行為は特段の事情のない限り「日常生活上必要な行為をやむを得ない行為」に該当するので、その後通勤経路に戻ってから負傷した場合は通勤災害に該当します(労災保険法規則8条1号)。
  2. 不適切。出張中は事業主の支配管理下にあると認められるので、出張中の移動は業務の一環で行っていることになります。帰宅するまでは出張中とみなされるので、出張中の移動による災害は通勤災害ではなく業務災害になります。
  3. 不適切。労働者派遣契約では、派遣元事業主と派遣労働者の間に雇用関係があり、派遣労働者は派遣元事業主に使用されています。派遣先で業務上の負傷をした場合、使用者である派遣元を適用事業とする労災保険が適用されるので、派遣元の証明が必要になります。
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  4. 不適切。複数事業労働者の給付基礎日額は、それぞれの就業先の事業場ごとに算定した給付基礎日額を合算した額を基礎として決定されます(労災保険法8条3項)。その100分の60が休業補償給付の額となります(労災保険法14条)。
したがって適切な記述は[1]です。