公的年金(全55問中16問目)

No.16

公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2022年5月試験 問6
  1. 厚生年金保険の被保険者で、その被保険者期間が25年6カ月である妻(49歳)が被保険者期間中に死亡し、その妻に生計を維持されていた遺族が夫(50歳)と子(14歳)の2人である場合、遺族基礎年金および遺族厚生年金は夫に支給される。
  2. 厚生年金保険の被保険者で、その被保険者期間が26年6カ月である夫(47歳)が被保険者期間中に死亡し、その夫に生計を維持されていた遺族が妻(45歳)のみである場合、その妻が受給する遺族厚生年金には、妻が65歳になるまでは中高齢寡婦加算額が加算され、65歳以後は経過的寡婦加算額が加算される。
  3. 国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が10年以上ある夫(62歳)が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、夫との婚姻期間が10年以上あり、生計を維持されていた妻(58歳)は、夫が死亡した日の属する月の翌月から5年間、寡婦年金を受給することができる。
  4. 国民年金の第1号被保険者として8年間保険料を納付してきた子(28歳)が、障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、生計を同じくしていた母親(55歳)は、死亡一時金を受給することができる。

正解 4

問題難易度
肢111.0%
肢234.5%
肢37.4%
肢447.1%

解説

  1. 不適切。遺族基礎年金の受給権者は、子または子のある配偶者なので、子(14歳)のいる夫は受給することができます。一方、遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲は、妻・子・孫・夫・父母・祖父母ですすが、夫・父母・祖父母に被保険者の死亡時に55歳以上という制限があります。よって、夫(50歳)は遺族厚生年金を受給することができず、子が遺族厚生年金を受給することになります。
  2. 不適切。経過的寡婦加算額の対象者は、1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれ中高齢寡婦加算となっている妻です。1956年4月1日生まれの人は65歳以上になっているので、2024年現在45歳の妻は、中高齢寡婦加算の対象ですが、経過的寡婦加算額の対象ではありません。
    【補足】経過的寡婦加算額は、年金への全員加入が始まった1986年(昭和60年)4月1日時点で30歳以上になっていた妻を対象とした給付です。現在の第3号被保険者に当たる被用者年金の被保険者の妻は、それまで国民年金には任意加入となっており、30歳時点で加入歴がないと60歳までの保険料納付済期間が全体の4分の3にしかなりません。これにより、自身の老齢基礎年金額が中高齢寡婦加算額(基本年金額の4分の3)よりも下回る人が出てくるため、その差額を補うのが経過的寡婦加算額の目的です。
  3. 不適切。58歳から受給することはできません。寡婦年金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡した場合に、その夫に生計を維持されていた婚姻関係(事実婚関係含む)10年以上の妻に対して、60歳から65歳到達月まで支給されます(国年法49条1項)。
  4. [適切]。死亡一時金は、保険料の掛け捨てを防止するための給付で、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡し、遺族基礎年金を受給できない場合に、生計を一にしていた遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹)に一定金額が支給される制度です(国年法52条の2)。死亡一時金の支給対象者には父母も含まれます。
したがって適切な記述は[4]です。