社会保険(全68問中6問目)

No.6

公的介護保険(以下、「介護保険」という)の保険給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年1月試験 問2
  1. 介護保険の第2号被保険者が指定居宅サービスを利用した場合は、世帯の収入金額の多寡にかかわらず、自己負担額の割合は1割である。
  2. 介護保険において、特定疾病に該当するがんは、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限られる。
  3. 被保険者の介護サービスに要した1カ月の自己負担額が一定の限度額を超えた場合は、所定の手続により、高額介護サービス費の支給を受けることができる。
  4. 高額医療合算介護サービス費は、直近の1年間において高額介護サービス費および高額療養費の支給を受け、かつ、介護保険と公的医療保険の自己負担額を合算した額が一定の限度額を超えなければ支給されない。

正解 4

問題難易度
肢121.5%
肢215.4%
肢37.1%
肢456.0%

解説

  1. 適切。第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が介護サービスを利用した場合の自己負担割合は、得ている所得額にかかわらず1割です。第1号被保険者は、前年度の所得額に応じて1割から3割の自己負担となります。
  2. 適切。第2号被保険者が要介護・要支援認定を受けるためには、加齢に伴う16種類の病気(特定疾病)によることが要件となっています。がんについては、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの、いわゆる「がん末期」に限り特定疾病に該当します(介護保険法令2条)。
  3. 適切。介護サービスに要した1カ月の自己負担額が所得に応じた上限額を超えた場合、所定の手続により、高額介護サービス費としてその超えた金額の払戻しを受けることができます(介護保険法51条)。
  4. [不適切]。高額医療合算介護サービス費は、高額介護サービス費・高額療養費の支給の有無にかかわらず支給を受けることができます。高額療養費等の支給を受けて月々の自己負担が限度額に達している人と、高額療養費等の支給に至らないまでも自己負担が限度額近くになっている人で差を付ける必要はないからです。
    1年間(8/1~7/31)に公的医療保険と介護保険の両方で自己負担額があり、その合算額が世帯単位で所得に応じた一定額を超えた場合、その超えた金額の払戻しを受けることができます。これを「高額医療・高額介護合算療養費制度」といいます。限度額を超えた部分は、公的医療保険と介護保険の自己負担額の比率によって按分され、公的医療保険と介護保険の双方から支給されます。このとき、公的医療保険から支給されるのが「高額介護合算療養費」、介護保険から支給されるのが本肢の「高額医療合算介護サービス費」です(介護保険法51条の2)。
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したがって不適切な記述は[4]です。